<労働時間の把握義務>
使用者には労働時間を適正に把握する義務があります。
そして労働時間の適正な把握を行うためには、単に 1 日何時間働いたかを把握するのではなく、労働日ごとに始業時刻や終業時刻を使用者が確認・記録し、これをもとに何時間働いたかを把握・確定する必要があります。
使用者が始業・終業時刻を確認し記録する方法としては、原則として、次のいずれかの方法によることが求められています。
・使用者が自ら現認し記録すること。
・タイムカード、ICカード、パソコン入力等の客観的な記録を基礎として確認し記録すること。
<自己申告制が許される場合>
上記の原則的な方法が使えない場合に限り、例外的に自己申告制とすることが許されるのですが、その場合には、以下の措置を講ずることが必要です。
・自己申告制を導入する前に、その対象となる労働者に対して十分な説明を行うこと。
・自己申告の内容が正しいか、必要に応じて実態調査を実施すること。
・時間外労働時間数の上限を設定するなどの措置を講じないこと。
<現実的な対応>
事前の説明や定期的な実態調査が不十分だと、労働時間の適正な把握ができなかったと評価されます。これでは、万一の労働紛争で会社が不利になります。
そもそも、今やパソコン・スマホで入力すれば、自動的に集計してくれるサービスもあるのですから、あえて自己申告制をとる必要性は乏しいでしょう。
社会保険労務士 柳田 恵一
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