会社が有給休暇の取得を拒めるのは?

会社が有給休暇の取得を拒めるのは?

<時季指定権と時季変更権>

同じ会社の同じ部署で、一度に多数の労働者が相談のうえ、同じ日を指定して年次有給休暇を取得しようとするのは権利の濫用です。

このように事業の正常な運営を妨げる場合には、会社は時季変更権を行使することができます。〔労働基準法39条5項〕

<権利の濫用とは?>

出勤日当日の朝に、従業員が上司にメールで「休みます」と連絡し、後から「あれは有給休暇です」と言っても、多くの場合、会社は有給休暇の取得を拒否できます。なぜなら、会社の時季変更権を侵害してしまうからです。

そもそも年次有給休暇などの権利を保障する労働基準法は、憲法に基づいて制定されました。〔日本国憲法27条2項〕

そして憲法自身が、権利を「濫用してはならない。常に公共の福祉のために利用する責任を負う」と定めています。〔日本国憲法12条〕

ここで、「公共の福祉」というのは、時季指定権と時季変更権のような対立する権利の調整を意味します。

自分の権利の主張が、相手の権利を侵害する場合には、権利の濫用とされることがあるのです。

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<権利の濫用とは言えない場合>

出勤日当日の朝に、従業員が上司に電話で「母が自宅で意識を失い救急車で病院に運ばれました。私も救急車に同乗して今病院にいます。有給休暇の取得ということにできませんか」と連絡した場合は、権利の濫用とは言えないでしょう。

従業員は有給休暇の取得にあたって、理由を述べる必要は無いのですが、自ら特別な理由を明らかにして申し出た場合には、会社も取得を認めるルールが必要でしょう。

 

社会保険労務士 柳田 恵一


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