<年次有給休暇の繰り越し>
年次有給休暇は、取得せずに残った分が翌年度に繰り越されます。
正確には、権利が発生してから2年間で時効消滅するので、それまでは消えずに残るということです。〔労働基準法115条〕
では、今年付与された年次有給休暇の他に、前年付与されたものが残っている場合に、年次有給休暇を取得したら、新しいものと古いもののどちらから使われるのでしょうか。
もし、新しいものから使われるとすれば、今年付与されたものをすべて取得してしまった場合には、来年に繰り越される年次有給休暇が無いことになります。
<法律上のルールは?>
このことについて、労働基準法には規定がありません。
仮に年次有給休暇も労働契約の一部であると考え、契約についての原則を定める民法に従ったとすると次のようになります。
まず、労働者が取得を請求してきた場合、使用者は新しいものから使うことを指定できます。もし、使用者がその指定をしなければ、労働者は古いものから使うことを指定できます。しかし、労働者の指定に対して使用者がすぐに異議を述べたときは、新しいものから使ったことになります。〔民法488条〕
また、使用者も労働者も指定しないときは、使用者に有利となるよう新しいものから使ったことになります。〔民法489条〕
この理屈はとてもわかりにくいのですが、労働基準監督署に相談すると、この説明を受けることになります。
しかし、古いものから消えていくほうがわかりやすいですし、給与計算システムもそのようにできていることが多いのです。
ここはやはり、きちんと就業規則に規定しておくことをお勧めします。
社会保険労務士 柳田 恵一
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