<所得控除とは?>
年末調整の時期が近づくにつれ、社員の皆さんは給与計算部門から、関連書類や添付書類の提出を求められるようになります。
中には「この書類を出すことによって税金が増えるのでは?」と不安に感じる従業員もいます。しかし、所得控除は多いほうが、所得税は安くなるのです。
それは次の計算式を見れば明らかでしょう。
支払金額(年収)-給与所得控除=給与所得(給与所得控除後の金額)
給与所得-各種所得控除=課税所得
課税所得×税率=所得税
つまり所得控除が増えた分だけ、課税所得が減ります。そして所得税は、この課税所得に税率をかけて計算します。ですから、所得控除が増えれば所得税は減るのです。
この所得控除があるのは、所得税額を計算するときに各納税者の個人的事情を加味しようとするためです。
<「所得控除の額の合計額」とは?>
所得控除の種類は次のとおりです。
雑損控除、医療費控除、社会保険料控除、小規模企業共済等掛金控除、生命保険料控除、地震保険料控除、寄附金控除、障害者控除、寡婦(寡夫)控除、勤労学生控除、配偶者控除、配偶者特別控除、扶養控除、基礎控除
所得がある人すべてに、38万円の基礎控除があります。
寡婦(寡夫)控除では、女性の場合と男性の場合とで要件に差があります。
なお、日本国内に住所などがない、いわゆる非居住者の場合の所得控除は、雑損控除、寄附金控除、基礎控除の3つです。
これらすべての所得控除の合計額が「所得控除の額の合計額」欄に表示されています。
社会保険労務士 柳田 恵一