<年俸制の考え方>
なぜ「年俸制の従業員が長期欠勤したとき年俸を下げても良いのか」という疑問が出るのでしょうか。
これは、年俸が過去の実績を踏まえつつ、今後1年間でどれだけ会社に貢献してくれそうかという予測評価に基づいているためでしょう。
プロ野球の選手は、一般の労働契約とは違うと思いますが、サラリーマンにも応用できそうだということで、年俸制を採用している会社があります。
そして一度決めた年俸は、長期欠勤にもかかわらず会社から支払いが続くというものです。
<法の規制と対応方法>
年俸制であっても、労働基準法の縛りがあります。毎月1回以上定期に賃金を支払わなければなりません。残業手当、深夜手当、休日出勤手当も支払う必要があります。
しかし、欠勤控除してはいけないというルールはありません。実は法令には規定がないのですが、労働契約の性質から「労働者が働かなければ会社に賃金の支払い義務はない」という「ノーワーク・ノーペイの原則」があります。
ですから、年俸制を実施している会社で、就業規則に欠勤控除の規定がなければ定めれば良いのです。もちろん、就業規則が無いのなら一から作る必要があります。
ただし、長期欠勤にもかかわらず、通常の賃金を支払い続けていたという実例が過去にあった場合には、就業規則の不利益変更が疑われます。この場合には、弁護士や社会保険労務士などの専門家と、所轄の労働基準監督署に相談しながら慎重に事を進める必要があります。
社会保険労務士 柳田 恵一
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