<限定的に許されている端数処理>
下の表に示した端数処理は、賃金計算の便宜上の取り扱いとして、労働基準法違反にはなりません。〔昭和63年3月14日基発150号通達〕
1か月の賃金支払い額 | 1か月の賃金支払い額に100円未満の端数が生じた場合 | 50円未満を切り捨てそれ以上を100円に切り上げる |
1か月の賃金支払い額に1,000円未満の端数が生じた場合 | 翌月の賃金支払い日に繰り越す | |
1か月の労働時間数 | 時間外労働、休日労働、深夜業の各々の時間の合計に1時間未満の端数がある場合 | 30分未満の端数を切り捨てそれ以上を1時間に切り上げる |
1時間あたりの賃金額 | 1時間あたりの賃金額に1円未満の端数が生じた場合 | 50銭未満の端数を切り捨てそれ以上を1円に切り上げる |
1時間あたりの割増賃金額 | 1時間あたりの割増賃金額に1円未満の端数が生じた場合 | |
1か月の割増賃金総額 | 1か月における時間外労働、休日労働、深夜業の各々の割増賃金の総額 |
<許されない端数処理>
反対に、これ以外の労働者に不利益な取り扱いはできません。
たとえば、毎日5分未満の残業時間を切り捨てるという計算は許されていません。上記の表にあるように、1か月の合計時間について、30分未満の切り捨てと30分以上の切り上げの両方を行うという運用が許されているに過ぎないのです。
社会保険労務士 柳田 恵一