<試用期間を延長したくなるケース>
正社員として採用した新人に試用期間を設定して様子を見たところ、今一つ物足りなくて、すぐには本採用に踏み切れないときがあります。
こんなときは本人とも相談して、試用期間をあと少しだけ延長して様子を見たくなることもあります。
<労働法の世界では>
求人広告には「試用期間3か月」と書いてあるのに、実際には1か月延長して4か月になったら、ブラック求人と言われるかもしれません。
試用期間延長に同意した新人でも、その後本採用にならなかったら、家族や労働基準監督署に相談するかもしれません。
多くの場合、試用期間の身分は不安定ですから、試用期間の延長は、それ自体が労働者に不利益な扱いです。労働法の世界では、本人に不利益となる同意は原則として効力を否定されてしまいます。
<それでも延長を考えるなら>
まず試用期間の開始にあたって、本採用の条件を新人に説明し、その内容を書面で渡しておきます。
つぎに、定期的に面談をして、本採用の条件を満たす見込みについても話し合いをしておきます。
そして、試用期間内に本採用の条件を満たせない見込みの新人を、会社として必要とするのであれば、試用期間の延長を提案し、本採用にならないこともある旨を前もって説明しておきます。
ここまでしたうえでの同意であれば、「自由な意思による同意」となり、効力を否定されることは無いでしょう。
社会保険労務士 柳田 恵一
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