<管理監督者の基準>
管理監督者とは、経営方針の決定に参画し労働条件の決定その他労務管理について経営者と一体的な立場にある者です。
これは、役職とは無関係ですから、部長なのに管理監督者ではなかったり、役職者ではないのに管理監督者であったりします。
管理監督者であることは、次のような基準から総合的に判断されます。
・労働時間の管理を受けていないこと
遅刻、早退、欠勤は問題視されず、給与の減額もありません。
・一般従業員と比べて賃金面で優遇されていること
部下が長時間残業すると給与が逆転するとか、部下が最高の評価を受けると賞与が逆転するというのでは基準を満たしません。
・労務管理上の指揮権限があって管理的な仕事をしていること
人事考課を行う、年次有給休暇の許可を与える、業務の指示を与える、採用の決定権限があるなど、会社側の立場に立っていることです。
<残業手当の支給>
こうした基準を満たし、管理監督者といえる社員には残業手当の支給が不要です。
そもそも、時間管理する側の立場であって、自分自身は時間管理されていないのですから、残業手当の計算もできません。
<隠れ管理監督者>
管理監督者の立場にある社員が、給与規定の作成と運用を任されていて、自分自身に残業手当を支給するルールにしていることもあります。
本来支給する必要の無い残業手当を支給しても違法ではありませんが、会社にとっては余計な人件費の負担となります。
こうした「お手盛り」が存在しないか、定期的にチェックすることも必要でしょう。
社会保険労務士 柳田 恵一
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