<最低定年年齢>
事業主が定年制を設ける場合には、定年を60歳以上とすることが義務付けられています。〔高年齢者雇用安定法8条〕
これにより、60歳未満の定年を定めた就業規則等の規定は無効とされます。
<定年後の継続雇用>
定年の定めをしている事業主に対して、65歳までの高年齢者雇用確保措置を講ずべきことが定められています。〔高年齢者雇用安定法9条〕
義務付けられる雇用確保措置のうち継続雇用制度には、勤務延長制度と再雇用制度とがあります。
勤務延長制度は、原則として役職・職務、仕事内容、賃金水準などが変わりません。これに対し、再雇用制度は一度労働契約を終了させた後に、新しく労働契約を締結するものです。
つまり、必ずしも定年年齢の65歳以上への引上げや、勤務延長制度の選択が義務付けられているわけではありません。再雇用制度を選択し、新しい労働契約によって、役職・職務、仕事内容、賃金水準などが変わることもあるわけです。
<再雇用制度を選択する場合の規制>
しかし、再雇用制度を選択した場合であっても、再雇用にあたって、事業主が極端に労働条件を下げた労働契約を提案した場合には、実質的に再雇用拒否と見られますから、解雇権の濫用と同視され、65歳までの高年齢者雇用確保措置を講ずべき義務に反します。つまり、高年齢者雇用安定法9条に違反することになります。
では、どの程度条件を下げても再雇用拒否と見なされないかというと、まだ裁判例も通達も少ないですから明確な基準は見当たりません。結局、具体的な事例に即し、社会通念に照らして相当かどうかで判断することになります。
社会保険労務士 柳田 恵一
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