<労働条件の通知>
アルバイトでも、パートでも、人を雇った使用者は労働条件を書面で交付する義務があります。〔労働基準法15条〕
労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書、労働契約書など名前はいろいろです。
名前はどうであれ、交付しないのは違法で30万円以下の罰金刑が規定されています。〔労働基準法120条〕
<労働条件明示の理由>
労働条件の明示が労働基準法に規定されているのはなぜでしょうか。
労働契約は、使用者の「働いてください。給与を支払います」という意思表示と、労働者の「働きます。給与を支払ってください」という意思表示が合致することによって成立します。
しかし、たとえば仕事の範囲が決まっていなければ、労働者は何をさせられるのかがわかりません。給与に見合った仕事なのか、危険は無いのか、何時頃まで働かされるのかなど、不安だらけになります。
労働者が安心して働き、生活とのバランスをとるには、どうしても労働条件の明示が必要になるのです。
<定着率との関係>
契約期間、契約更新の有無、就業の場所、業務内容、出勤日、始業終業時刻、休日など、すべて労働者の不安を解消するには明示が必要な事項です。
こうしたことが不明確なまま、急に出勤日が変わったり、残業を指示されたりすれば、不安は大きくなってしまい、退職を考えることにもなります。
労働基準法が労働条件の通知を義務付けているのは、労働者を守る趣旨ですが、きちんと決めて労働者に示すことで、定着率の向上に役立つものです。
社会保険労務士 柳田 恵一
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