男女平等とポジティブ・アクション

男女平等とポジティブ・アクション

<ポジティブ・アクションの意味>

ポジティブ・アクションは、正しい英語ではなく、肯定的差別(ポジティブ・ディスクリミネーション)と肯定的措置(アファーマティブ・アクション)を組み合わせた造語です。

このうち肯定的措置というのは、弱者集団の不利な現状を把握し、歴史的経緯や社会環境を踏まえて是正するという改善措置を指します。

弱者集団については、民族、人種、出身などによる差別が問題となるのですが、日本では特に女性差別が問題とされ、厚生労働省が中心となって女性の活躍や男女格差解消を推進しています。

 

<企業での具体的な取組み>

固定的な男女の役割分担意識や過去の経緯から、営業職に女性がほとんどいない、課長以上の管理職は男性が大半を占めているなど、男女労働者の間に具体的な差が生じている場合、この差を解消しようと個々の企業が行う自主的かつ積極的な取組みをいいます。

社内制度による形式的な差別が無くても、女性の能力が十分に活かされていない実態がある場合に、課題を解決し実質的な男女均等取扱いを実現するために必要となるものです。

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<男女雇用機会均等法との関係>

男女雇用機会均等法は、「法の下の平等を保障する日本国憲法の理念にのっとり雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保を図るとともに、女性労働者の就業に関して妊娠中及び出産後の健康の確保を図る等の措置を推進することを目的とする」としています。〔1条〕

また、「事業主が、雇用の分野における男女の均等な機会及び待遇の確保の支障となっている事情を改善することを目的として女性労働者に関して行う措置を講ずることを妨げるものではない」と規定しています。〔8条〕

これは、この法律が男女差別を禁止する一方で、ポジティブ・アクションを積極的に認め、実質的な男女平等の実現を図る趣旨であることを示しています。

 

社会保険労務士 柳田 恵一