懲戒処分のバランス1(故意の有無)

懲戒処分のバランス1(故意の有無)

<故意と過失の違い>

同じく他人にケガを負わせた場合でも、意図的に殴りかかった結果なら傷害罪になりますし、人ごみで高齢者にうっかりぶつかって転倒させた結果なら過失傷害罪となります。

故意のある傷害罪は「15年以下の懲役または50万円以下の罰金」という重い法定刑なのに対して、過失傷害罪は「30万円以下の罰金または科料」で、しかも告訴がなければ公訴を提起されません。〔刑法204条、209条〕

同じ結果が発生した場合でも、わざと行ったのなら重く処罰され、うっかりなら軽く処罰されるのは、その危険性や行為に対する世間一般の非難のレベルが大きく異なるからです。

 

<懲戒規定でも>

会社の懲戒規定は、社内の刑法ともいうべきものですから、故意による行為は過失による行為よりも重い処分になるのが当然です。

ところが、「会社の業務上重要な秘密を外部に漏洩して会社に損害を与え(以下略)」というように、故意によるものと過失によるものを区別せず、1つの条文で定めていることがあります。

これでは適切な懲戒処分を行いにくいので、場合を分けて規定すべきでしょう。

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<重過失という考え方>

普通はありえないような極端な不注意で、わずかな注意により結果の発生を防げたはずの過失を、一般の過失と区別して「重過失」と呼ぶことがあります。

重過失には故意と同程度の危険があり、非難の程度も一段高いといえますから、懲戒処分によって反省と改善を求める必要性も高いのです。

このことから「故意または重過失により(以下略)」という規定も、多く見られますし妥当だと思います。

 

社会保険労務士 柳田 恵一