<タイムカードを使う目的>
タイムカードは、出勤時刻と退出時刻の記録を残し、労働時間を管理するために使われています。しかし、タイムカードを使うのは、残業手当を計算するためであるというように、いつの間にか目的がすり替わってしまうことがあります。
そして、タイムカードの目的を残業手当に絞ってしまうと、残業手当の付かない管理監督者にタイムカードは要らないことになります。やがて、タイムカードの無いことが、役職者の一種のステータスになっていきます。
<タイムカードが無い悲劇>
たとえば、部長が勤務中に心臓発作で倒れたとします。もし部長の家族が「帰宅は毎日24:00を過ぎていました。土日も出勤していました」と話したら、たとえその外出のすべてが仕事のためではなかったとしても、部長の勤務実態を証明できない会社は、過重労働による労災の疑いを免れないように思われます。
またたとえば、部長が通勤経路で倒れ頭部から出血していたとします。しかし、発見されたのが深夜で、仕事帰りかどうかもわからなければ、通勤災害として労災保険の手続きをしようにも情報が足りません。
こうしたことを想定すると、社長などの経営者を除き、どの従業員についても、きちんと労働時間を管理するのが正しいことがわかります。
社会保険労務士 柳田 恵一
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