<違法解雇と言えるのは>
労働基準法により違法とされ、罰則が規定されている解雇には次のものがあります。〔労働基準法119条1号〕
・業務災害を理由とする休業期間中と業務復帰後30日間の解雇〔同法19条〕
・産前産後休業期間中と業務復帰後30日間の解雇〔同法19条〕
・法定の解雇予告や解雇予告手当が無い解雇〔同法20条〕
これらは、国家により使用者に刑罰が科される違法な解雇の規定です。
刑罰とは別に、労働者から使用者に対して、不法行為を理由とする損害賠償の請求もありえます。〔民法709条〕
<不当解雇に罰金は無いが>
労働契約法に「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。」と規定されているのが不当解雇です。罰則はありません。〔労働契約法16条〕
解雇が有効になるのは、解雇を通告された本人が客観的に合理的な理由があると納得できる場合であって、しかも、世間一般の人々が「やむを得ない」と納得できる事情がある場合に限られます。
不当解雇というのは、使用者が労働者に解雇を通告したものの、解雇の有効要件が欠けていて無効とされる場合を言います。
不当解雇では、使用者が罰せられることはありません。しかし、解雇が無効であるにもかかわらず退職扱いされてしまった労働者は、使用者に対して損害の賠償を請求することができるのです。
社会保険労務士 柳田 恵一
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