パワハラによるケガの治療費は誰の負担か

パワハラによるケガの治療費は誰の負担か

<労災保険は適用されない>

パワハラによってケガをさせた場合、労災保険は適用されません。なぜなら、ケガをさせるようなことは本来の業務に含まれませんし、本来の業務に通常伴うものでもなく、また関連するものとも言えないからです。

 

<パワハラ加害者の責任>

暴力によって相手にケガをさせれば傷害罪が成立します。これは、最高刑が懲役15年という重い犯罪です。〔刑法204条〕

また、これとは別に、被害者から治療費や慰謝料などの損害賠償を請求されるでしょう。〔民法709条、710条〕

刑事責任と民事責任は別問題ですから、たとえ国家から罰金刑を科されたとしても、これとは無関係に損害賠償責任を負うわけです。

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<会社の責任>

一方で会社は、職場で行われた傷害行為について、加害者本人と同様の賠償責任を負います。使用者責任です。〔民法715条〕

また会社は、労働者がその生命、身体などの安全を確保しつつ労働することができるよう必要な配慮をする労働契約上の責任もありますから、加害行為があることを知りながら適切な対処をしなかったときは、この義務違反による損害賠償責任が発生します。〔民法415条〕

そもそも会社は、被害が発生したら賠償請求に応ずれば良いのではなく、パワハラそのものが発生しないようにする義務を負っているのです。

 

社会保険労務士 柳田 恵一