懲戒処分のバランス5(会社の利益と対象者の人権)

懲戒処分のバランス5(会社の利益と対象者の人権)

<会社の利益を確保するためには>

会社に損害が発生しないようにするには、社員にして欲しくないことを、懲戒規定にもれなく定めておかなければなりません。

しかし、想定外のことで会社に損害が発生することもあり、すべてを規定しておくことは困難です。最近では、SNSやブログへの悪ふざけの投稿が、懲戒規定でカバーできないことが問題となりました。

 

<包括的な規定の効果>

懲戒規定の中に「その他前各号に準ずる不適切な行為があったとき」という条文を見ることがあります。

こうしておけば、すべてを網羅しているようにも見えます。

しかし、「悪いことをしたら処分します」という規定を置くようなものですから、あまりに具体性を欠き、その有効性は疑わしいものです。

そして、こうした規定を根拠に懲戒処分を行うことは、社員に対する人権侵害の恐れが大きいといえます。

そもそも、このような規定があることを知った社員は、委縮してしまい伸び伸びと活躍することができなくなってしまうでしょう。

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<解釈が分かれる規定>

懲戒規定の中に「平素の勤務態度その他情状によっては」「重要な悪影響」「しばしば」「数回にわたって」「著しく害した」などの表現を見ることがあります。

これらは、人によって解釈が分かれます。会社側は懲戒処分ができるように解釈するでしょうし、対象者は自分に有利に解釈するでしょう。

そして、労働審判にでもなれば、会社が「しばしば」「著しく」といえることを証明しなければなりません。これは、かなり難しい場合が多いのです。

懲戒処分を巡るトラブルを増やさないためには、余計な形容詞などを減らすことも必要でしょう。

 

社会保険労務士 柳田 恵一