労働条件通知書の保管義務

労働条件通知書の保管義務

<労働条件通知書の交付義務>

労働条件のうちの基本的な事項は、労働者に対して書面で通知するのが基本です。新人なら、1回目は雇い入れ通知書で、2回目からは契約更新、時給変更、出勤日変更の時から労働条件通知書という場合もあります。

「使用者は、労働契約の締結に際し、労働者に対して賃金、労働時間その他の労働条件を明示しなければならない。この場合において、賃金及び労働時間に関する事項その他の厚生労働省令で定める事項については、厚生労働省令で定める方法により明示しなければならない」〔労働基準法15条〕

これが労働基準法の定めです。そして、罰則もあります。

「三十万円以下の罰金に処する」〔労働基準法120条1号〕

しかし、たまたま摘発されて30万円の罰金を科せられたとしても、日常的に面倒な書類を交付するよりは、30万円の罰金で済むならその方が楽という考え方をする経営者の方もいらっしゃるでしょう。

 

<労働条件通知書の保管義務>

労働条件通知書は3年間の保管義務があります。

「使用者は、労働者名簿、賃金台帳及び雇入、解雇、災害補償、賃金その他労働関係に関する重要な書類を三年間保存しなければならない」〔労働基準法109条〕

そして、こちらにも罰則規定があります。

「三十万円以下の罰金に処する」〔労働基準法120条1号〕

結局、3年間に1回でも労働条件通知書の交付を怠れば、罰則が適用されうるということです。

しかも、この罰金は1件につき30万円ですから、状況によっては相当な多額に及びます。

 

<労働法上の形式的な義務>

労働基準法だけでなく、労働安全衛生法、男女雇用機会均等法、育児介護休業法、パートタイム労働法などなど、経営者に課せられた義務は把握するだけでも大変な状況です。

しかし、形式的な義務を果たすことは、経営者自身を護ることにつながります。

人道的な義務や、人情で果たすべき義務の前に、この形式的な法定の義務を果たすことを心がけましょう。

 

社会保険労務士 柳田 恵一