<社会保険の加入基準>
社会保険の加入基準のうち、労働時間と労働日数については、労働契約によって定められた所定労働時間と所定労働日数が基準になります。
かつては、今後1年間の見込みや勤務の実態が基準とされていたのですが、平成28年10月1日に、見込みや実態というあいまいな基準が見直されました。
労働契約の内容は、雇用契約書や労働条件通知書などに記載されたものですから、実態として妊婦さんの早退が多く勤務時間が減少したとしても、それだけで加入基準を満たさなくなるわけではありません。
<産前産後の社会保険加入者の権利>
少子高齢化の傾向から、社会保険にも少子化対策が反映され、産前産後の加入者(被保険者)の権利は強化されています。
まず、産休(産前産後休業)と育休(育児休業)の間は、社会保険料が免除されます。かつては、育休中だけでしたが、産休中にも拡大されました。
また、産休中の生活保障のため健康保険から出産手当金が支給されます。かつては、賃金の60%の保障でしたが、66.6%に引き上げられました。
さらに、出産費用補てんのため、健康保険から1児につき原則として42万円が支給されます。この出産育児一時金も、最初は30万円でしたが数次にわたり増額されてきましたし、さらに増額が検討されています。
<政府の少子高齢化対策>
国が少子高齢化対策を強化しています。関連する法令の改正も盛んです。
社内で妊婦や高齢者の権利に関わることが問題となった場合には、慎重に法令の規定をチェックすることを心がけたいものです。
社会保険労務士 柳田 恵一