<被害者への害悪>
被害者はセクハラを受けたことにより、その職場にいられなくなり退職することになったり、再就職が困難になったりします。対人恐怖症など心理的後遺症が残り、長期にわたって回復しないこともあります。
企業としては、最終的には金銭解決を図るしかないのですが、被害者の一生を補償できるわけではありません。
<企業への害悪>
従業員の勤労意欲低下と、職場秩序の乱れが生じます。
被害者の退職による戦力ダウンだけでなく、職場全体の生産性低下につながります。組織力が適正に活かされなくなり、効率的な運営ができなくなります。
企業イメージの低下により、顧客も取引先も離れていきますし、金融機関からの評価も下がります。
もちろん被害者への損害賠償による金銭的損失も発生します。
<加害者への害悪>
信用の失墜は職場に留まりません。顧客や取引先に対する信用も失われます。何より、家族からの信頼が失われるのが大きな打撃です。
被害者に取り返しのつかない傷を負わせたことが、被害者にとっても一生の傷となります。
加害者が会社から十分な教育を受けていなかったため、軽い気持ちで行為に及んでしまったというケースもあります。こうなると、セクハラの加害者も会社との関係では被害者の立場にあります。
<セクハラの性質>
業務上必要なセクハラ行為というものはありません。
この点パワハラが、会社の意向を受けて行った注意指導に伴うものであるのとは、全く事情が違っています。
仕事をするうえで、全く必要性が認められず、百害あって一利なしというのがセクハラの性質です。
何としても、阻止しなければなりません。
社会保険労務士 柳田 恵一