<マタハラ(マタニティーハラスメント)の定義>
マタハラとは、職場での上司や同僚からの、妊娠・出産したことに関する言動や、育児のための制度の利用に関する言動により、妊娠・出産した女性労働者や育児休業等を申出・取得した男女労働者等の就業環境が害されることをいいます。
対象者は、女性に限られず、父親となった男性も含まれます。
<職場の範囲>
職場は、労働者が業務を遂行する場所ですから、事務所、店舗などに限られず、出張先や取引先、自動車の中なども含まれます。
また、勤務時間外であっても、職務との関連性や、参加義務などにより、実質的に勤務の延長であれば、職場と見なされる場合があります。
職場で起きた事であれば、企業の使用者責任が問われます。〔民法715条1項本文〕
<労働者の範囲>
正社員だけでなく、パート、アルバイト、契約社員などを含むすべての労働者をいいます。
また、派遣労働者については、派遣元も派遣先も、直接雇用の労働者と同様に措置を講じる必要があります。
<マタハラにあたらない場合>
客観的に見て、業務上の必要に基づく言動は、マタハラにはなりません。
セクハラの場合には、業務上の必要に基づくことがありえないのとは異なります。
なお、平成29年1月1日付でマタハラの定義が変更され、事業主による不利益取扱いは別途定義付けられていますので、従来のマタハラの定義からは外されています。〔男女雇用機会均等法9条3項、育児介護休業法10条〕
社会保険労務士 柳田 恵一