雇用契約の更新を忘れていると…

雇用契約の更新を忘れていると…

<労働条件の通知>

アルバイトでも、パートでも、人を雇った使用者は労働条件を書面で交付する義務があります。〔労働基準法15条〕

労働条件通知書、雇い入れ通知書、雇用契約書、労働契約書など名前はいろいろですが、交付しないのは違法で30万円以下の罰金刑が規定されています。〔労働基準法120条〕

というのも、労働条件が不明確なら、年次有給休暇の付与日数も取得した場合の給与計算の方法も不明です。月給制なら、残業手当の計算方法もわかりません。こうしたことから、労働条件を書面で交付しないのは、「年次有給休暇も残業手当もありません」と公言しているようなものだからです。

 

<契約の更新>

有期労働契約であれば、これらの書類に契約期間が明記されています。

ところが、契約期間の終了が迫っているのに、なかなか契約更新の話が無いのでは、雇われの身としては不安で仕方がありません。

ついに契約期間が過ぎても何の話も無ければ、このまま働いていて大丈夫なのかと疑問を感じてしまいます。

こういう場合に備えて、民法には次の規定があります。

「雇用の期間が満了した後労働者が引き続きその労働に従事する場合において、使用者がこれを知りながら異議を述べないときは、従前の雇用と同一の条件で更に雇用をしたものと推定する」〔民法629条1項〕

つまり、契約切れなのに勝手に働いているのだから、賃金支払義務は無いなどということはないのです。

(このほか労働契約法19条にも一定の場合の契約更新が規定されています)

 

<契約更新期が近づいたら>

遅くとも契約期間満了の1か月前になったら、使用者からでも労働者からでも、気づいた方が契約更新の話をもちかけるべきでしょう。

必ず前回と同じ内容で更新というわけではなく、出勤日や勤務時間の変更、賃金の改定など検討する余地があるかも知れません。

 

社会保険労務士 柳田 恵一