問題社員とどう向き合うか

問題社員とどう向き合うか

<問題社員の知識レベル>

問題社員というのは「良いことの原因は自分、悪いことの原因は他人」と思い込み、義務は果たさず権利を濫用して退職後に会社を訴えるような社員です。

こうした問題社員は、労働法関連の知識が豊富であるかのように見せることが多いものです。ところが実際には、正しい知識が少なくて、体系的な理解が不足していることも多いのが現実です。

その原因としては、法律関係の知識を吸収する際に、自分に都合よく独自の解釈を加えてしまうこと、コツコツと地道な努力を重ねるのは嫌いなので専門書を通読しないことなどが考えられます。

<問題社員から要求があったとき>

問題社員から会社に対して、脅しとも取れるような強烈な要求が出されることもあります。

この要求の中には、正しいこと、誤ったこと、単なる勘違いが含まれ、区別の難しい形で一体化しています。

立場上こうした要求に耳を傾ける人は、事実と主張とを明確に分けて聞き取らなければなりません。

そして、事実については、なるべく具体的に話の内容を明らかにすることと、どのようにしてその事実を認定したのかも聞いておく必要があります。

一方、主張についても具体的な内容を明らかにすることが必要ですが、それ以上に、会社にどうして欲しいのかを明確にしなければなりません。

こうして聞き取りをした人は、その場で結論を出してはいけません。少なくとも、聞き取った事実が真実かどうかの確認はしなければならないのですから、安易に結論を出せないのです。

 

<専門家に相談するタイミング>

問題社員から「話がある」と言われ、それが会社に対する何らかの要求であると判明した場合、話を聞くのは上司や人事部門の責任者の業務であっても、話をするのは問題社員の業務ではありません。

ですから、後日改めて話を聞くことにして日時を指定することもできます。そして、対応方法について社会保険労務士や弁護士と協議するのがベストです。

このタイミングを逃しても、正しく聞き取りができていれば、その後の対応について協議ができます。

事実の真否を確認するのは社内のメンバーで行い、主張の正当性の確認は労働法令の専門家である社会保険労務士が行うというように役割を分担することもできます。

もしこのタイミングを外して、会社なりの対応をした結果、問題社員がその対応を不満に思い、労働審判に持ち込んだような場合には、主に弁護士の指導を受けながら対応する局面に進んだと判断されます。

もし、まだ法的手段に出ていないような場合なら、会社が主体となって労働局の斡旋(あっせん)を利用することもできます。この場合には、特定社労士に委任することが可能です。

 

<問題社員への指導>

勤務態度や他の社員への干渉について、上司などから問題社員に指導をする場合があります。

ここで注意しなければならないのは、注意指導の根拠を明らかにしたうえで行うということです。なんとなく、常識的に、ビジネスマナーとしてというのでは、強く抵抗されてしまいます。

根拠としては、就業規則、労働契約、法令、社内ルールとなりますが、文書化されていないものは根拠として弱すぎます。ですから、就業規則も無く労働条件通知書の交付も怠っているような会社では、問題社員への指導がむずかしくなってしまいます。

小さな会社でも、問題社員対策として、就業規則を備えておくことをお勧めします。

 

社会保険労務士 柳田 恵一