<引上げの終了>
厚生年金の保険料率は、年金制度改正に基づき平成16年から段階的に引き上げられてきましたが、今年9月を最後に引上げが終了し18.3%で固定されることになります。
9月に最後の引上げが行われるということは、保険料が後払いであることから、10月納付分をもって引上げが終了するということです。
<これまでの引上げ>
平成16年の年金制度改正で、急速に進行する少子高齢化を見据え、将来にわたり年金制度を持続的で安心できるものとするため、給付と現役世代の負担の両 面にわたる見直しが実施され、上限を決めた上での保険料の引上げや、マクロ経済スライドによって年金の給付水準を自動的に調整する新たな年金財政の仕組みが構築されました。
この仕組みに基づき、厚生年金保険料率は平成16年10月の13.934%から毎年 0.354%ずつ引き上げられてきました。
<引上げ終了の影響>
厚生年金保険料率の引上げが終了したことで、基礎年金国庫負担の3分の1から2分の1への引上げと合わせて、年金財源確保の仕組みは完成しました。
今後は、この「決められた収入の範囲で、年金の給付水準をいかに確保していくか」ということが課題となります。
年金の給付水準については、平成26年に公表された「平成26年財政検証結果」で、「日本経済が再生し、女性や高齢者の方の労働参加が進めば、将来にわたって、年金の給付水準を表す指標である所得代替率は50%を上回る」ということ が確認されています。
つまり、女性や高齢者の活用は、単に女性の地位向上を狙った政策なのではなく、年金の給付水準を維持するためにも必要な政策なのです。
<国民年金の保険料>
国民年金保険料は、平成16年度の価格水準を基準として引上げが行われており、今年4月に引上げが終了しています。
具体的な保険料は、平成16年度の価格水準で月額16,900円とされ、名目賃金の変動に応じて毎年度改定されることになっています。(平成29年度の保険料額は月額16,490円)
なお、次世代育成支援のため産前産後期間の保険料免除制度が施行されたことに伴い、平成31年4月から国民年金第1号被保険者(自営業の方など)に対して、平成16年度の価格水準で保険料が月額 100円引き上げられます。
社会保険労務士 柳田 恵一