ブラック企業と勘違いされる求人広告とは

ブラック企業と勘違いされる求人広告とは

<ブラック企業の特徴>

ブラック企業は、社員を最低の賃金で過重労働させたうえ使い捨てにします。

この特徴が求人広告に反映されています。

優良企業が求人広告を出す場合でも、同じ特徴を備えていると、ブラック企業ではないかと疑われるので注意が必要です。

<低賃金で長時間労働だから>

ブラック企業は極端な長時間労働ですから、結果的に最低賃金法違反の給与が発生します。

ところが、ブラック企業も優良企業も、求人広告をザッと見ると給与が高いと感じられます。ブラック企業は、「この仕事でこの給与ならお得だ」と思わせる工夫をしているからです。

区別のポイントは、労働時間、休日出勤、休暇、基本給、手当、残業代のわかりやすさです。

ブラック企業は、実際の労働時間が判断できないような不明確な表現をしています。休日出勤や休暇についてもあやふやです。優良企業ならば、明確な実績を表示できるはずです。

ブラック企業の求人広告には、聞き慣れない名称の手当があったり、残業代が別計算なのか手当に含まれるのかがあやふやで怪しいのです。優良企業ならば、一般的な用語を使っていますから明確です。

 

<社員を使い捨てにするから>

ブラック企業は、疲れた社員を意図的に退職に追い込むので、いつも大量の退職者が出ています。その一方で、大量の新規採用を行います。

「事業拡大につき大量採用!」という表現が求人広告に入っていたら、優良企業が本当に事業を拡大する予定なのか、それともブラック企業がウソをついているのか、判断がつきにくいでしょう。

社外秘もありますが、公開できる範囲内で具体的な情報を示して信頼してもらえるように工夫しましょう。

 

<本当は魅力が無いから>

優良企業なら、労働者が魅力を感じるポイントがたくさんありますから、具体的な魅力を求人広告にアピールできます。

一方ブラック企業は、アピールできる魅力が無いのでイメージでごまかそうとします。そのため、次のような表現が多く見られます。

 

・一部の人の昇給例の表示

使い捨てにする側の社員は昇給や昇進があるので、これを例示します。

社員の「平均」は表示できません。

 

・年次有給休暇など休暇の「実績」の表示が無い

制度があるという表示はあるものの、本当に休暇を取れているという実績は無いので表示できないのです。

 

・「和気あいあい」「アットホーム」など人間関係が良いことをアピール

実際には小規模で、社員が親から叱られるように厳しく扱われているのが現実です。それでいて、親とは違って愛情が感じられません。

 

・精神論的な表現が目立つ

「あなたの熱意を買います」「やる気だけ持ってきてください」「あなたの夢は何ですか」「お客様への感謝の気持が原動力です」など実体の無い表現が多く見られます。

 

以上を参考に、ブラック企業と勘違いされる要素は無いか、求人広告の表現内容を再確認することをお勧めします。

 

社会保険労務士 柳田 恵一