労働契約法に出てくる「合理的」の意味

労働契約法に出てくる「合理的」の意味

<労働契約法に出てくる「合理的」>

労働契約法には、「合理的な」という言葉が7回出てきます。〔1条、7条、10条、15条、16条、19条本文、19条2号〕

しかし、ここでいう「合理的な」という言葉がどういう意味なのかは、労働契約法の中に説明がありません。

法令に出てくる基本的な用語の意味が確定していないと、私たちが具体的な事実に当てはめて考えることがむずかしくなってしまいます。

<辞書の説明>

「合理的」という言葉を辞書で調べると、次のように書かれています。

 

大辞林 第三版

論理にかなっているさま。因習や迷信にとらわれないさま。

目的に合っていて無駄のないさま。

 

デジタル大辞泉

道理や論理にかなっているさま。

むだなく能率的であるさま。

 

辞書ですから、様々な場所で使われている「合理的」に共通する意味を表示しているのでしょう。

しかし、労働基準法に出てくる「合理的」の意味にぴったり当てはまるようには思えません。

 

<たとえば解雇について>

労働契約法は、解雇について次のように定めています。

 

第十六条 解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする。

 

とても抽象的な表現です。

ですから、使用者が労働者を解雇しようとしたときに、それがこの規定に触れて無効になってしまうのか、それとも有効になるのかを判断するのは困難です。

 

そして、労働契約法のすべての条文や裁判例を参考に考えると、この労働契約法16条の「合理的な理由」というのは、「労働契約法の趣旨や目的に適合する理由」という意味に理解するのが最適だと思われます。

労働契約法の目的は他の多くの法令と同じように、第1条に書かれています。

これと他の条文全体の趣旨から、「合理的な理由」の意味が確定されるわけです。

 

こう考えると、「合理的」の意味を日常的な意味でとらえるなど、素人判断は危険だということになります。

ですから、解雇などを検討する場合には、労働法に詳しい弁護士や社会保険労務士などの専門家に相談する必要が出てくるということになるでしょう。

 

社会保険労務士 柳田 恵一