副業・兼業を制限できる範囲の設定

副業・兼業を制限できる範囲の設定

<副業・兼業の推進>

平成29年3月に政府から「働き方改革実行計画」が示されました。

これを受けて、厚生労働省「柔軟な働き方に関する検討会」で雇用型テレワーク、自営型(非雇用型)テレワーク、副業・兼業に関する新たなガイドライン案、モデル就業規則改定案等が検討されています。

<モデル就業規則>

この検討会で「副業・兼業」に関するモデル就業規則の改定案が、次のように修正されました。

(副業・兼業)

第65条 労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。

3 第1項の業務が次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。

① 労務提供上の支障がある場合

② 企業秘密が漏洩する場合

③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

④ 競業により企業の利益を害する場合

 

<就業規則の改定>

副業・兼業を禁止・制限する場合の根拠は、就業規則に規定することになりますが、その内容が不明確だとトラブルの元になってしまいます。

また、定期的な研修などで繰り返し説明する必要があります。

 

<労務提供上の支障がある場合>

身体の疲労だけでなく、精神的な疲労によっても、本業に集中できないことが想定されます。これをどのように認定するかを、具体的に明らかにしなければなりません。

また、遅刻したり、残業や休日出勤の命令に応じられなかったりすることも考えられます。その原因をどのような基準で認定するかの問題もあります。

 

<企業秘密が漏洩する場合>

モデル就業規則は、「漏洩の恐れがある場合」とせず、「漏洩する場合」として範囲を限定しています。自社としてはどうするか、業種によっても判断が分かれるところでしょう。

さらに前提として、企業秘密の範囲も明確にする必要があります。

 

<会社の名誉や信用を損なう行為>

ただ単に本業の会社の社員であることを示して副業・兼業を行っても、それだけでは名誉や信用を損なうことにはなりません。しかし、いい加減な態度で副業・兼業に臨んでいれば、本業での仕事ぶりについて顧客や取引先から疑われかねません。

また、本業の会社の商品やサービスと類似する粗悪品を提供する場合も、会社の名誉や信用を損なうことになりかねません。

 

<信頼関係を破壊する行為>

会社に対する裏切り行為を想定していると考えられます。

しかし、ここにこの規定を置かなくても、懲戒処分の中に規定を置いても自然だと思われます。

程度によっては、懲戒解雇もありうる行為です。

 

<競業により企業の利益を害する場合>

顧客や売上の減少、取引先との関係悪化などが考えられます。

ただ、ある程度は自由競争の原理が働きますから、わずかな利益侵害を指摘して副業・兼業を禁止するのは行き過ぎでしょう。

 

社会保険労務士 柳田 恵一