<ハロー効果>
ハロー効果とは、ある際立った特徴を持っている場合に、それが全体の評価に影響してしまうことです。
英語のハロー(halo)は、日本語では後光(ごこう)といいます。
仏やキリストなどの体から発するとされる光です。仏像の背中には放射状の光として表現されています。
この光がまぶしくて、真の姿が見えなくなってしまうのです。
<プラス評価の場合>
たとえば、次のように思い込んでしまう例があげられます。
・〇〇大学を卒業している → 学力だけでなく人格も優れている
・将棋の有段者である → 頭が良くて勝負勘がある
・国体の出場経験がある → 目標を達成する意欲が高い
これらの例では、矢印の左側が根拠となる事実であり、右側が結論なのですが、そもそも仕事に関する事実ではないものが根拠となっています。
<マイナス評価の場合>
たとえば、次のように思い込んでしまう例があげられます。
・太っている → 健康状態が悪い、自己管理能力が低い
・高校を中退している → 忍耐力が乏しい、社会性が欠如している
こちらも仕事に関する事実ではないものが根拠となっています。
<評価項目間の影響>
特定の評価項目の評価が際立っているために、他の評価項目の評価にまで影響してしまうことがあります。
・積極性が優れている → 応用力が優れている
・責任性が劣っている → 規律性が劣っている
これらは相互に関係しない独立した評価項目です。それぞれを単独で評価する必要があります。
<実際のハロー効果と対処法>
実際の人事考課では、ある人について「優れている」というレッテルを貼り、あらゆる評価項目について評価が甘くなってしまうことがあります。
「あばたもえくぼ」です。「あばた」というのは、天然痘が治った後に皮膚に残るくぼみのことです。大好きな人の顔にある「あばた」が「えくぼ」に見えてしまうのです。
反対に、「劣っている」というレッテルを貼り、あらゆる評価項目について評価が厳しくなってしまうことがあります。
「坊主憎けりゃ袈裟(けさ)まで憎い」です。袈裟というのは、仏教の僧侶が身に着ける衣装のことです。坊主を憎んでしまうと、その坊主が着ている衣装まで憎く思われるということです。
人事考課では、人物を評価するのではなく、評価項目ごとに客観的な評価をするわけですから、先入観を捨てる必要があるのです。
評価をするにあたっては、ハロー効果などの理解が不可欠ですから、人事考課制度を適正に運用するためには、考課者に対する定期的な教育研修の実施が大事です。
社会保険労務士 柳田 恵一