得意・不得意がはっきりした考課者による評価の危険

得意・不得意がはっきりした考課者による評価の危険

<対比誤差>

「あの人と比べてどうか」と評価対象者同士の比較により評価するのは、その会社の人事考課が相対評価であれば当然のことです。

しかし、人事考課制度の主流を占める絶対評価では、評価対象者同士の比較はしません。

どちらの場合でも、考課者が無意識に自分と対比して評価してしまう危険があります。

この危険を対比誤差といいます。

<得意・不得意でゆがむ評価>

評価の基準を考課者自身に置いてしまうと、経験や実績を積んだ自分と部下とを比べて低く評価することになります。特に、自分の得意分野の仕事については、「なぜこんなこともできないのか」という気持ちを抱きやすくなりますから、厳しい評価になってしまいます。

反対に、考課者の不得意な知識や技能を持っている部下の評価が、不当に高い評価となってしまうこともあります。自分のできないことを行っている部下は、なんとなく優秀に見えてしまうのです。

こうして、自分の得意分野には厳しく、不得意な分野については甘く評価する危険があるのです。

 

<役職者の能力不足>

役職者には、部下の一人ひとりを育てる役目があります。そのためには、部下の具体的な業務内容をしっかり把握する必要があります。

これを怠ってしまうと、特に自分の不得意な知識や技能を持っている部下の業務内容を把握できないことになります。

自分の得意な仕事を担当している部下の指導は手厚くて、自分がよく解らない仕事を担当している部下のことは指導できないというのでは、部下の成長にも差がついてしまいます。

 

<不得意を抱えた役職者への対応>

こうした不公平が起こらないように、役職者は、自分の不得意な仕事を抱えている部下に対して、積極的にコミュニケーションをとり、具体的な仕事内容を把握し、その仕事について勉強する必要があります。

また、役職者個人の努力に期待するだけでなく、役職者を対象とする研修の内容に、部下の仕事を学ぶノウハウなどが含まれていなければなりません。

そして、教育・研修を受けても、部下の仕事を学ぼうとしない人、学べない人は、その部署の役職者としての適性を欠いているわけですから、異動を検討することになります。

 

社会保険労務士 柳田 恵一