フレックスタイム制の清算期間延長(2019年4月より)

フレックスタイム制の清算期間延長(2019年4月より)

<法改正のポイント>

平成31(2019)年4月1日からは、現行法で1か月が上限とされるフレックスタイム制の清算期間が3か月にまで延長できるようになります。

清算期間を2か月、3か月と延長する場合のメリットとしては、次のようなことが挙げられます。

・各月の曜日ごとの日数の違いによる不都合が緩和される。

・特定の繁忙月や労働者の都合への対応が容易になる。

・残業代の計算が、原則として2か月、3か月単位になる。

反対に、次のようにやや煩わしくなる点もあります。

・所轄労働基準監督署に労使協定の届出が必要となる。

・長時間労働が慢性化している場合には残業代の計算が複雑になる。

 

<曜日ごとの日数の違いによる不都合が緩和>

31日まである月の場合、特定の曜日が4回であったり5回であったりします( 31 ÷ 7 = 4あまり3 )。具体的には、4回の曜日が4つと、5回の曜日が3つです( 4 × 4 + 5 × 3 = 31 )。

基本的に水曜日と木曜日が休日である労働者が、1か月単位のフレックスタイム制を利用していると、同じ31日の月であっても、出勤日数が21日から23日まで幅があります。

するとたとえば、1か月の所定労働時間が177.7時間の月であっても、残業が多く発生したり、勤務時間が足りなくて年次有給休暇を取得したりということになります。

 

これが3か月単位のフレックスタイム制であれば、曜日ごとの日数の違いによる不都合が緩和されます。

7月から9月までの場合、ある特定の曜日が14回で、他の曜日はすべて13回です( 92 ÷ 7 = 13あまり1 → 14 + 13 × 6 = 92 )。

つまり、3か月単位のフレックスタイム制は、1か月単位よりも曜日による影響が少ないため、残業代が多くなったり、調整のための年次有給休暇取得が増えたりの不都合が解消されるわけです。

 

<特定の繁忙月や労働者の都合への対応が容易>

特定の繁忙月だけ残業代が増え、他の月には勤務時間が不足して調整のための年次有給休暇取得が増えるという不合理は、3か月単位のフレックスタイム制であれば緩和されます。

また、夏休みは子供の世話をしたいなどのニーズがある労働者にとって、3か月間で勤務時間を調整できるのは、ワークライフバランスの観点から望ましいものです。

 

<残業代の計算が原則として2か月、3か月単位>

長時間労働が慢性化している職場でなければ、残業代の計算が2か月、3か月に1回ですから、給与計算をする側も、給与を受ける側も確認が楽になります。

フレックスタイム制を導入することによって、1日単位、1週間単位での残業時間の計算が不要になることは大きなメリットです。2か月、3か月単位のフレックスタイム制であれば、このメリットがさらに大きくなるわけです。

 

<所轄労働基準監督署に労使協定の届出が必要>

現行法のフレックスタイム制でも、労使協定を交わすことは必要ですが、所轄の労働基準監督署長への届出は不要です。

清算期間が1か月を超えるフレックスタイム制では、労働基準監督署長への届出が義務付けられます。

ほとんどの事業場は、三六協定書を労働基準監督署長に届け出ているわけですし、郵送での届出もできるわけですから大きな手間にはなりません。

 

<残業代の計算が複雑になる場合もある>

働き方改革では、労働者の過重労働防止も視野に入れています。

たとえ清算期間が3か月の場合でも、1か月ごとに平均労働時間が1週あたり50時間を超える場合には、その月ごとに残業代を支払わなければなりません。

1週間の法定労働時間が40時間の場合であれば、1日あたりの残業時間が2時間を超える場合に、その月の残業代を支払うことになります。

このことから、長時間労働が当たり前になっている職場では、結局、毎月残業代を支払うことになりますから、2か月、3か月単位のフレックスタイム制を導入する効果は減ってしまいます。

 

参考:完全週休2日制の特例

フレックスタイム制の清算期間における所定労働時間は、法定労働時間が1日8時間、1週40時間であれば次の式で求められます。

40時間 ÷ 7日 × 清算期間の日数

しかし、毎週土日が休日のような完全週休2日制では、同じく法定労働時間が1日8時間、1週40時間の場合でも、次の式により所定労働時間を設定することができます。

8時間 ×( 清算期間の日数 - 清算期間の土日の日数 )

 

社会保険労務士 柳田 恵一