労働問題の再発防止に必要な原因解明

労働問題の再発防止に必要な原因解明

<今年は台風の当たり年>

平成30(2018)年の6月から8月にかけて、例年よりも多くの台風が発生しました。

日本に接近し上陸する台風が発生するメカニズムは、次のように考えられています。

赤道の北側に「熱帯収束帯」というのがあります。

ここに赤道の北と南から風が集まり、行き場のなくなった風が上空に上昇気流として上がっていくと、海水温が高く水蒸気が多いので、多量の積乱雲が発生します。

こうして台風の卵ができます。

今年は、熱帯収束帯の海水温が例年より1℃高いので台風が多いようです。

<原因の原因>

では、なぜ熱帯収束帯の海水温が高いのかというと、二酸化炭素の増加による地球全体の温暖化、太陽活動の変化、森林の縮小などが原因ではないかとされています。

しかし、自然現象のことですから確実なことは解かりません。

ましてやその先の、なぜ二酸化炭素が増えるのか、太陽活動がどのように変化するのか、森林はなぜ縮小するのかを解明しようとしても、むずかしいのです。

 

<労働問題の原因>

たとえば、残業が減らないのも、年次有給休暇の取得率が低いのも、男性が育児休業を取らないのも、「仕事が忙しいから」で終わらせてしまうと改善策が出てきません。

同様に、パワハラやセクハラは「それを行う人の常識が無い」、求人への応募者が少なくて退職者が多いのは「会社に魅力が無い」、新人が入社して数年で意欲を失うのは「仕事にやりがいが無い」というだけの原因解明では、対応の糸口すら見えてきません。

 

<突っ込んだ原因解明>

たとえば、パワハラの原因が「それを行う人の常識が無い」ことにあるとすれば、そのまた原因は会社の教育不足が考えられます。

・経営者がパワハラを許さないことについて明確な意思を表明していない

・就業規則に具体的で明確なパワハラの定義がない

・定義があっても、就業規則について研修が定期的に繰り返されていない

またたとえば、非常識でパワハラを行う社員がいるのではなく、パワハラが放置されていることが原因で横行しているのであれば、その原因として次のことが考えられます。

・パワハラの相談窓口がない

・パワハラ被害者から申し出があっても会社が対応していない

・就業規則に具体的で明確な懲戒処分の規定がない

・規定があっても、就業規則について研修が定期的に繰り返されていない

自分の会社が、どうしてこのような状態なのか、その原因まで解明できれば、やるべきことは具体的に見えてくるでしょう。

何か問題が発生したときには、その解決だけに追われることなく、再発防止に取り組むことは大切なことです。

 

社会保険労務士 柳田 恵一