年間平均による随時改定(月変)(平成30(2018)年10月以降)

年間平均による随時改定(月変)(平成30(2018)年10月以降)

<定時決定(算定)での特例>

一般に行われるように、毎年4月~6月の3か月間の報酬をもとに標準報酬月額を算出すると、業務の時期的な繁閑によって、異常に高くあるいは低くなってしまうという不合理が発生することがあります。

そこで、前年7月~当年6月までの1年間の報酬の月平均額によって算出した標準報酬月額と、一般的な計算により算出した標準報酬月額との間に2等級以上の差があり、この差が業務の性質上、例年発生することが見込まれる場合には、申し立てにより、過去1年間の月平均報酬月額により標準報酬月額を算定することができるようになっています。

社会保険料の定時決定(算定)では、4月~6月の3か月間の報酬をもとに標準報酬月額を算出するのが原則ですが、この3か月間だけ極端に残業代が多かったり少なかったりすると、著しく不当な標準報酬月額となるため、これを避けるために年平均の額で計算することができるわけです。

これには、事業主の申立書と本人の同意等の提出が必要です。

(正式名称は「年間報酬の平均で算定することの申立書」と「保険者算定申立に係る例年の状況、標準報酬月額の比較及び被保険者の同意等」です)

<随時改定(月変)での特例>

こうした定時決定(算定)での算定方法が、通達により平成30(2018)年10月以降の随時改定(月変)にも適用されることになりました。

これにより業務の性質上、繁忙期に残業代の増加が著しく、しかもこの時期に昇給したような場合で、通常の随時改定(月変)では著しく不当になる場合には、年間平均によることができるようになります。

年間平均で随時改定(月変)を行うには、次の条件を満たす必要があります。

・現在(改定前)の標準報酬月額と、通常の随時改定による報酬月額に2等級以上の差がある。

・非固定的賃金を年間平均した場合の3か月の報酬月額の平均が、通常の随時改定による報酬月額と2等級以上差がある。

・現在の標準報酬月額と、年間平均した場合の報酬月額との差が1等級以上ある。

・繁忙期に残業が集中するなどの傾向が、業務の性質上、例年見込まれる。

この手続きにも、事業主の申立書と本人の同意等の提出が必要です。

 

<本人の同意が必要な理由>

特別な手続きによって、標準報酬月額を低額に抑えることができれば、社会保険料(健康保険料と厚生年金保険料)を安くすることができます。

これは、事業主にとっても本人にとっても負担の軽減になります。

しかし、健康保険については、傷病手当金や出産手当金が「支給開始日以前の継続した12か月間の各月の標準報酬月額を平均した額」を基準に支給されることから、長期間休業して入院治療を受ける予定の人や、現在妊娠中で産休を取る予定の人の場合には、標準報酬月額が下がらない方が有利なケースもあります。

特に、産休中と育休中は社会保険料が免除されますから、一般的な計算により標準報酬月額が高額になっても不利益はありません。

年金についても、将来受け取る年金のために保険料を高く維持したいと考える人もいます。

こうしたことから、定時決定(算定)も随時改定(月変)も特例での手続きをする場合には、本人の同意が必要とされているのです。

 

社会保険労務士 柳田 恵一