<リスク回避のため>
パワハラに走る人には、共通点があると言われています。
共通する特徴は、普段の行動の傾向にも現れます。
こうした傾向の現れている人に、会社が部下や後輩を与えると、パワハラを誘発することになります。
リスク回避のためには、これらの傾向が消えるまで教育研修などを行い、人事異動を慎重にするなどの配慮が必要でしょう。
<善悪判断の自信過剰>
「自分は正しい」と思い込みやすい傾向があります。
ニュースに接したとき、「誰が正しい、誰が悪い」ということを口にしやすい傾向が見られます。
社内での自分の手柄や貢献について、繰り返し話題にします。
グループ研修などを通じて、「常に自分が正しいわけではない」ことを理解させましょう。
<主体的な制裁意識>
「悪いことをした人に対しては、自分が制裁を加えるべきだ」と考える傾向があります。
社内で不都合なことをした人に対しては、直属上司が指導すべきですし、社内規定に従った懲戒が行われるべきです。
しかし、他部署の人に注意したり、街中で赤の他人に怒ったりするのは、この傾向の現われです。
組織論や懲戒が行われる場合の段取りについて、理解させる必要があります。
<原因の誤判断>
自分の行為から生じた不都合な結果について、自分自身が悪いにもかかわらず、他人の行為が原因であると考える傾向があります。
自分が会議室で花瓶を倒して割った場合には、「こんな所に花瓶を置いた人が悪い」と考えます。
他人が会議室で花瓶を倒して割った場合には、「不注意で花瓶を割った人が悪い」と考えます。
こうした考え方の矛盾と問題点について、本人に自覚させなければなりません。
<器が小さい>
人格的に未成熟で心に余裕が無いということです。
他人の成功を喜べない、他人をほめることができない、人の好き嫌いが激しい、自分と家族を優先して考える、自分に利益が無いことには消極的、お金に細かい、他人を批判するが自分への批判は気にする、好意的なアドバイスを受け入れないなどの傾向が見られます。
これでは、部下や後輩がついてきませんから、イライラしてパワハラに走るのも当然です。
この特徴は、家庭内の「しつけ」の現われでもあり、社内での教育研修で改善するのは大変かもしれません。
協調性や会社への貢献意識などを、人事考課の評価項目に入れておき、自覚を促して、自ら改善してもらうのが得策でしょう。
社会保険労務士 柳田 恵一