働き方改革のチェックポイント

働き方改革のチェックポイント

<働き方改革とは>

働き方改革の定義は、必ずしも明確ではありません。

しかし、働き方改革実現会議の議事録や、厚生労働省から発表されている数多くの資料をもとに考えると「企業が働き手の必要と欲求に応えつつ労働生産性を向上させる急速な改善」といえるでしょう。

 

<長時間労働の解消>

現在、大手企業を中心に最も進められている働き方改革といえば、残業時間を初めとする労働時間の削減です。

労働時間の削減は、ひとつ一つの業務の必要性を見直すことが基本です。過去からの習慣で行っている業務、得られる成果が経営陣の自己満足だけのような業務は最初に切り捨てられます。

これはこれで正しいのですが、労働者側からは「働き方改革の影響で収入が減った。転職を考えている」という声もあがっています。

残業時間の減った正社員は、その分だけ残業手当が減り給与が減少します。パート社員は時間給ですから、出勤日数や労働時間が減った分だけ収入が減ります。

会社側は、働き方改革で労働時間が減り、労働生産性が向上したということで喜んでいる一方、働き手の不満は膨らんでいるようです。

<正しい働き方改革>

「残業時間が減ったから残業手当も減った。労働生産性が向上した」というのは、飽くまでも会社側の感想です。

収入が減れば、社員のモチベーションは低下します。生活レベルも低下して疲労回復も制限されてしまいます。会社への帰属感も低下します。「この会社が好きだけど、今の仕事が気に入っているけれど、転職しないと生活できない」という社員も増えてしまいます。

こうした状態では、労働生産性が低下します。やる気が無くなり、不安が先行しますから当たり前のことです。

社員は人間ですから、理由はどうあれ収入が減ればやる気が無くなります。

残業時間が減ったのなら、今までの残業分を定額残業代として支給してはいかがでしょうか。残業代を不当に削るための定額残業代ではなく、働き方改革が進んだ報奨としての定額残業代です。

パート社員についても時給のアップを考えましょう。採用難の中、ただでさえ人材確保のために時給を高めに設定する必要があります。「皆さんのご協力のおかげで働き方改革が進んでいます。これに報いるため時給の見直しを行います」というアナウンスをすると効果的です。

たしかに形式的には、会社の人件費は少しも削減されません。しかし、社員の疲労は軽減され、やる気は大幅にアップします。これによって、労働生産性が向上するわけです。

 

働き方改革は、労働生産性が向上しても、働き手の必要と欲求に反する結果が生じているのなら、見直しが必要となります。

働き方改革がうまく進んでいることの最大のチェックポイントは、従業員の満足度であることを忘れないようにしましょう。

 

社会保険労務士 柳田 恵一