<一斉休業の実例>
2019年の元日は、外食チェーンの他、百貨店や大手スーパーマーケットチェーンでも、一斉休業にする動きが目立ちました。
2月に入っても、回転ずし最大手の「あきんどスシロー」が、2019年2月5日と6日の2日間、ほぼ全店に当たる約500店舗を一斉休業しました。
広報によると「お客さまや関係者への影響を最小限に抑えつつ、働きやすい環境づくりにつなげたいという思いで一斉休業の形をとることにした」そうです。
各企業とも、休業により店舗の売り上げは減少するものの、それ以上のメリットがあるといいます。
働き方改革を推進していること、従業員のためを思っていることをお客様にアピールできるというのです。
たしかに、こうした一斉休業は、お客様にも納得していただきやすいことでしょう。
<年次有給休暇の計画的付与制度>
年次有給休暇の付与日数のうち、5日を除いた残りの分については、労使協定を結べば、計画的に休暇取得日を設定することができます。これを年次有給休暇の計画的付与制度といいます。
この制度はもともと、企業・事業場を一斉に休みにできる、あるいは一斉に休みにした方が効率的な業態について、全従業員に対して同一の日に年次有給休暇を与えることを想定しています。
たとえば製造部門など、操業を止めて全従業員を休ませることのできる事業場などで活用されてきました。
働き方改革の進む中で、この制度が、飲食業や小売業でも活用されるようになってきたようです。
<一歩進んだ特別休暇制度>
一斉休業を行うにあたって、年次有給休暇の計画的付与制度の活用を考えた場合に、入社したばかりで年次有給休暇が付与されていない従業員がいるときは、有給の特別休暇を与えるのが一般です。
大手企業では、入社とともに正社員に年次有給休暇が付与されることも多いのですが、パートやアルバイトについて、入社から一定期間経過後に付与しているのであれば、特に配慮が必要となります。
一方で、すでに年次有給休暇を取得していて残日数が不足する従業員に、この特別休暇を与えるのは考えものです。
ほとんど年次有給休暇を取得していない従業員は、特別休暇を与えられないわけですから、不公平が生じてしまいます。
とはいえ、一斉休業の日を欠勤扱いにするわけにもいきません。
全従業員に特別休暇を与えるか、一斉休業の社内告知を1年以上前にしておくなどの対応が必要となるでしょう。
社会保険労務士 柳田 恵一