<新制度導入の背景>
新たな外国人材の受け入れ制度が2019年4月に始まります。
法務省は、この背景として次の点を指摘しています。
・有効求人倍率が、1970年代以来44年ぶりの高さである。
・全都道府県で有効求人倍率が1を超える状態が続いている。
・失業率が25年ぶりの水準まで低下している。
・企業の人手不足感が、バブル期以来の水準にまで上昇している。
・2017年10月末現在、国内の外国人労働者数は約127万人で、過去最高を更新している。
<制度の変更点>
専門的技術的分野での在留資格は、高度専門職、教授、技術・人文知識・国際業務、介護、技能等に限定されていました。
新たに創設される在留資格として、特定技能1号、特定技能2号が加わります。
○ 特定技能1号
特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
○ 特定技能2号
特定産業分野に属する熟練した技能を要する業務に従事する外国人向けの在留資格
ここで、「特定産業分野」とは、介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の14分野をいいます。
ただし、特定技能2号は、建設、造船・舶用工業の2分野のみで受け入れが可能とされます。
【特定技能1号のポイント】
○ 在留期間:1年、6か月または4か月ごとの更新、通算で上限5年まで
○ 技能水準:試験等で確認(技能実習2号を修了した 外国人は試験等免除) ○ 日本語能力水準:生活や業務に必要な日本語能力を試験等で確認(技能実習2号を修了した外国人は試験等免除) ○ 家族の帯同:基本的に認めない ○ 受入れ機関または登録支援機関による支援の対象 |
【特定技能2号のポイント】
○ 在留期間:3年、1年または6か月ごとの更新
○ 技能水準:試験等で確認 ○ 日本語能力水準: 試験等での確認は不要 ○ 家族の帯同:要件を満たせば可能(配偶者、子) ○ 受入れ機関または登録支援機関による支援の対象外 |
<社員教育をお忘れなく>
人事部門には「外国人は安く使える」などの誤解は無いでしょう。
国内で働く外国人には、日本人と同様に、原則として労働基準法、最低賃金法などの法令が適用されます。
たとえ本人が同意しても、外国人を差別できませんし、最低賃金を下回る賃金では働いてもらえません。
これらのことは、現場の社員には必ずしも理解されていないことがあります。
外国人材の受入れ拡大に備えて、外国人雇用についての常識を再教育することをお勧めします。
社会保険労務士 柳田 恵一