ダブルワークで不利なこと

ダブルワークで不利なこと

<労働基準法の規定>

「労働時間は、事業場を異にする場合においても、労働時間に関する規定の適用については通算する」〔労働基準法第38条1項〕

この規定の意味は、1日8時間あるいは週40時間を超えて働いた場合の割増賃金や、法定休日出勤の割増賃金は、ダブルワークの場合には、複数の会社で働いた日数や時間を合計したうえで、賃金の計算をして支給しなければならないということです。

別の会社で働いている人を採用してダブルワークになったら、その会社と連絡を取り合って、出勤日や勤務時間数を確認したうえで、残業代の計算をすることになります。

しかし、「別の会社」に連絡した時点で、「別の会社」がダブルワークを問題視するかもしれません。

現実的には、ダブルワークの勤務時間を合計して、1日8時間、週40時間以内で収まるように働くか、関連会社や取引先でのダブルワークを会社と相談しながら考えることになるでしょう。

<雇用保険の不利>

雇用保険は、ダブルワークでも両方の会社で入ることはできません。メインの仕事をしている会社で入ります。

A社で週25時間働いて月収13万円、B社で週20時間働いて月収10万円なら、A社のほうで雇用保険に入ります。

このとき、B社の人事手続き担当者は「この人は週20時間勤務だから雇用保険に入る」と思うでしょう。ところが、ハローワークで雇用保険の手続きをしようとすると、「この人はA社の雇用保険に入ったままで、離職の手続きができていませんから、B社で雇用保険に入れません。A社に手続きを急ぐよう催促しておきますね」という話になるのです。

ところが、ハローワークからA社に連絡すると「この人は退職していません」という返事が来るのです。

結局、ハローワークはB社に対して雇用保険に入れない理由を説明することになります。

しかし、月収13万円と10万円の合計23万円で生活している人にとって、B社の仕事を失うことは、まぎれもなく失業です。こうした場合に、雇用保険の給付が受けられないというのは明らかに不利です。

 

<労災保険の不利>

労災保険は、労災事故が発生した側の会社について適用されます。

ダブルワークの場合、長期休業しても補償が受けられるのは、労災事故が発生した側の会社からの収入についてのみです。

安心して療養に専念するというのが、難しいケースも多いのです。

 

<社会保険の不利>

社会保険の加入基準が、平成28(2016)年10月に変わりました。

A社で週25時間働いて月収13万円、B社で週20時間働いて月収10万円なら、A社とB社の両方で社会保険に加入するということもあります。

この場合には、A社とB社で話し合って、手続きをする年金事務所を決めたり保険料を計算したりということが必要になります。

しかし、このような面倒なことは、A社もB社もしたくありません。

ダブルワークをする人は、社会保険の加入について特に気を遣います。

 

<留学生の場合>

留学生の場合には、勉強のために入国しているのですから、本来の目的と違うアルバイトなどの活動は制限されています。

留学生は資格外活動許可を受けた場合に限り、アルバイトを行うことができます。一般的に、アルバイト先が風俗営業または風俗関係営業が含まれている営業所でないことを条件に、1週28時間以内を限度として勤務先や時間帯を特定することなく、包括的な資格外活動許可が与えられます。また、在籍する大学などの長期休業期間は、1日8時間以内に延長されます。

そして、資格外活動の許可を受けずに、あるいは条件を超えてアルバイトに従事した場合は、不法就労となります。

ですから、夏休みなど長期休暇を除けば、留学生がダブルワークをするというのは難しいでしょう。

怖いのは、この資格外活動許可違反というのが労働基準法違反ではなくて出入国管理法違反である点です。摘発されれば、留学生は強制送還、雇っている側は営業停止処分もありうるので十分に注意しましょう。

 

社会保険労務士 柳田 恵一