報連相の活性化

報連相の活性化

<報連相が無い理由>

社員ひとり一人が独断で動くよりも、組織的に動いた方が、生産性が向上しリスクが回避できるのは明らかです。

そして、組織的に動くためには、部下から上司への報告・連絡・相談が欠かせません。

ところが、報告・連絡・相談が不足する会社・部署は存在します。

部下から上司への報告・連絡・相談が無い理由としては、部下の能力不足、上司による拒絶、上司のパワハラなどが考えられます。

<部下の能力不足の場合>

学生から社会人になったばかりの社員であれば、報告・連絡・相談が上手にできないのは、ある程度仕方のないことです。社内での集合研修や、現場教育の中で上手な報告・連絡・相談を身に着けさせるしかありません。

特に、業務に対する理解が低いと、頑張って報告しようと思っても、意味不明な内容になりがちです。また、気持ちが先行してしまい、事実と意見が混ざってしまうという失敗も多いものです。

しかし、新卒で入社から1年以上が経過し、あるいは中途採用から3か月が経過しても、まともに報告・連絡・相談ができないとなると、能力不足である可能性が高くなってきます。

こうした能力不足は、ほとんどの場合、採用の段階でチェックできます。理解能力や説明能力の不足は、志望動機やこれまでの経験について、一歩踏み込んだ質問をしてみれば、簡単にわかることでしょう。能力不足が疑われたら、妥協して採用してしまわないことです。たとえ個人としての能力が高くても、組織の中でその能力を活かすことは難しいからです。

 

<上司による拒絶の場合>

部下からの報告・連絡・相談が下手なために、上司が「もういいよ」と言ってしまうことがあります。何でもかんでも、細かいことまで報告・連絡・相談をされてしまうと、そういう反応を示してしまうこともありがちです。

部下が入社したばかりなら、この上司は少し短気だと言えるでしょう。そうした傾向のある管理職に対しては、さらに上司にあたる社員や人事部門から「長い目で見て育ててあげるように」という指導が必要になります。

また、上司が報告に対して「ああそう」、相談に対して「俺に聞くなよ」などと、冷たい反応を繰り返すのも一種の拒絶になりますから、注意したいところです。

 

<上司のパワハラがある場合>

自部署や会社にとって不都合なこと、あるいは個人的な失敗について、上司に報告・連絡・相談をするたびに大声で怒鳴られていたら、部下は報告・連絡・相談できなくなります。これは一種のパワハラです。

部下に対してパワハラを繰り返している上司には、部下が都合の悪い報告・連絡・相談をしませんから、不都合なことはその部門の管理職だけが知らないという状況も生まれます。これでは、その部署が1つの組織として正常に機能しません。

やはり、パワハラ行為を繰り返す管理職は、いくら仕事ができても管理職にはふさわしくないのです。会社としては、こうした社員をスーパー担当者として処遇するのが正しいといえるでしょう。

 

<報告・連絡・相談の工夫>

定期的に報連相のための日時を設定するとか、報連相のためのフォーマットなどツールを準備するとか、報連相のルールを決めておくとか、報連相の上手な人にレクチャーしてもらうとか、できることはたくさんあります。

報告・連絡・相談のレベルを上げれば、生産性の向上とリスク回避が可能なのですから、力を入れて取り組みたいところです。

 

<懲戒処分や表彰も>

能力不足で報告・連絡・相談ができない社員に対して懲戒処分を行うのは、決して適切ではありません。いくら反省しても、できないものはできません。

しかし、個人的な失敗など自分に都合の悪いことを隠す、嘘の報告をするというのは、能力とは関係なく反省が求められるケースですから、懲戒処分の対象となります。

反対に、上手な報告・連絡・相談を行っている社員を表彰することも、他の社員の心がけを変えることになり、効果が期待できますからお勧めです。

 

社会保険労務士 柳田 恵一