<用語の混乱>
雇用保険の失業手当(求職者給付の基本手当)について、「待期期間」と「給付制限」とが混同されやすいようです。
ともすると、会社の人事担当者が「給付制限」の期間のことを、うっかり「待期期間」と言ってしまうことがあります。
効果としては、「待期期間」も「給付制限」も、その期間の経過を待たなければ給付を受けられないという点で共通しています。
<待期期間>
ハローワーク(公共職業安定所)に離職票の提出と求職の申込みを行った日(受給資格決定日)から通算して7日間を「待期期間」と言います。
この期間が満了するまでは失業手当が支給されません。
これは、自己都合、会社都合など離職の理由にかかわらず一律に適用されます。
<給付制限>
さらに待期期間の満了後、一定の期間、失業手当の支給が行われない場合があります。
これを「給付制限」と言い、主なものとして次の理由があります。
1.離職理由による「給付制限」
客観的に正当な理由なく自己都合により退職した場合、または、労働者自身に責任がある重大な理由によって解雇された場合は、待期期間終了後、さらに3か月間の「給付制限」があります。
2.紹介拒否などによる「給付制限」
失業手当を受給できる人(受給資格者)が、公共職業安定所からの職業の紹介や指示された公共職業訓練などを客観的に正当な理由なく拒んだ場合、その拒んだ日から起算して1か月間は雇用保険の基本手当が支給されません。
また、再就職を促進するために必要な職業指導を客観的に正当な理由なく拒んだ場合にも、同様の「給付制限」があります。
<実際の入金>
実際に雇用保険の基本手当として初めて現金が振り込まれるのは、給付制限の無い場合でも、ハローワーク(公共職業安定所)で求職の申込みをしてから約1か月後(初回認定日の約1週間後)になります。
離職してから求職の申込みをするまでの期間、待期期間、給付制限の期間を合わせると、かなり長期になります。
会社の担当者が従業員から退職についての相談を受けた場合や、退職予定者の手続きを進めるにあたっては、この辺りの事情も十分に説明しておく必要があるでしょう。
社会保険労務士 柳田 恵一