労働時間短縮ハラスメント(ジタハラ)の解決

労働時間短縮ハラスメント(ジタハラ)の解決

<ジタハラとは>

仕事と生活のバランスが取れるようにし、生産性を向上させるため、働き方改革の一環として、労働時間の削減が推進されています。

ところが、会社によって労働時間が短縮されるのは、労働者にとって苦痛であり、嫌がらせであると感じている人たちがいます。

これが、労働時間短縮ハラスメント(ジタハラ)です。

ジタハラを解消するためには、次の反省と軌道修正が必要です。

<副業・兼業の奨励>

労働時間の短縮により収入が減る場合でも、これを補うための副業や兼業が奨励されているのであれば、あとは労働者側の努力次第という説明も可能です。

そもそも職業選択の自由がある以上、プライベートの時間に本業とは別の仕事をするのは労働者の勝手というのが原則です。

もちろん、本業に支障が出たり、企業秘密が漏えいされたり、会社に損害を与えるようなことは許されません。

副業・兼業を許可制にするのは行き過ぎで、せいぜい届出制に留めるべきだと思います。

次のモデル就業規則最新版(平成31(2019)年3月版)を参考に、社内規定を整備してはいかがでしょうか。

 

(副業・兼業)

第68条  労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる。

2 労働者は、前項の業務に従事するにあたっては、事前に、会社に所定の届出を行うものとする。

3 第1項の業務に従事することにより、次の各号のいずれかに該当する場合には、会社は、これを禁止又は制限することができる。

① 労務提供上の支障がある場合

② 企業秘密が漏洩する場合

③ 会社の名誉や信用を損なう行為や、信頼関係を破壊する行為がある場合

④ 競業により、企業の利益を害する場合

 

<労働者の主体性>

年次有給休暇について、会社が時季指定義務を果たすには、労働者の意向を汲んで行うことになっています。

ところが労働時間の短縮となると、殆どの場合に、その手段が会社からの押し付けになっていないでしょうか。

労働者に主体性を持たせ、創意・工夫による時間短縮を任せなければ、モチベーションが低下するのは当然です。

労働時間の短縮について労使の話し合いの場を持つ、キャンペーン的に労働者のアイデアを募り、成果の上がったアイデアは表彰するなど、労働者に主体性を持たせる方法はたくさんあります。

 

<お客様・お取引先への説明>

ただ単純に「閉店時間を早めます」「定休日を設けます」というのでは、不便になりますから、お客様の心は離れて当然です。

たとえば、スーパーマーケットのサミットは、今年から元日だけでなく1月2日も休業日としています。

その説明は、次のとおりです。

 

~働き方改革の一環として1月2日を休業いたします~

弊社の事業ビジョンとなる「サミットが日本のスーパーマーケットを楽しくする」の実現に向け、お客様やお取引先を大切にすることはもちろん、それを実現するために社員の働き方を見直します。直接お客様と接する店舗の社員が家族・親族と過ごせる時間を増やし、社員一人ひとりがリフレッシュすることで、1月3日から更にお客様にご満足いただける売場・商品・サービスを実現します。また、3日からの営業となることで、弊社のお取引先様の負担を少なくしていきます。

 

こうした説明を受けて「けしからん」と思う人などいないでしょう。

きちんと説明すれば、会社のファンを増やすきっかけにもなるのです。

お客様やお取引先が納得してしまえば、従業員も営業時間や労働時間の短縮を批判できないものです。

 

<正攻法の重視>

労働時間の短縮の手段としては、人員増、社員教育、システム化が王道です。

こうした正攻法を軽んじて、ノー残業デー、20時以降は消灯など、小手先の手段に走っていないでしょうか。

仕事と生活のバランスをとる、柔軟な働き方を選択できるようにするなど、働き方改革の本来の目的は労働者目線です。

いつの間にか、残業代削減など会社目線の施策が推進されていないでしょうか。

これはもはや、働き方改革ではなくなっています。

 

何のための働き方改革かという基本に立ち返って、労働時間の短縮に取り組むことが必要なのです。

 

社会保険労務士 柳田 恵一