<健康経営>
健康経営とは、「従業員の健康保持・増進の取組が、将来的に収益性等を高める投資であるとの考えの下、 健康管理を経営的視点から考え、戦略的に実践すること」とされています。
業績向上や企業価値向上のためには、企業が経営理念に基づき、従業員の健康保持・増進に取り組み、従業員の活力向上や生産性の向上等、組織の活性化をもたらすように努める必要があります。
<健康投資>
健康投資とは、健康経営の考え方に基づいた具体的な取組を言います。
Newsweek誌には、健康経営の投資額1ドルに対して、3ドルの投資リターンがあるという記事が掲載されたこともあります。
ここでの健康経営の投資額は、健康管理スタッフや事務部門の人件費、保健指導などの利用費やシステム開発・運用費、設備費から計算されています。
一方で、投資リターンの額は、欠勤率の低下やモチベーションの向上などによる生産性の向上、医療関連コストの減少、採用コストの減少、企業イメージのアップによる企業価値の向上から計算されています。
<健康経営優良法人認定制度>
経済産業省は、健康経営優良法人認定制度を設けていて、毎年2月に健康経営優良法人を発表しています。
大規模法人部門の認定には、たとえば、次の16項目のうち、12以上の項目で基準をクリアする必要があります。
・経営者がトップランナーとして健康経営の普及に取り組んでいること
・定期健診受診率(実質100%) ・受診勧奨の取り組み ・50人未満の事業場におけるストレスチェックの実施 ・健康増進・過重労働防止に向けた具体的目標(計画)の設定 ※「健康経営優良法人2021」の認定基準では必須項目とする ・管理職又は従業員に対する教育機会の設定 ※「従業員の健康保持・増進やメンタルヘルスに関する教育」については参加率(実施率)を測っていること ・適切な働き方実現に向けた取り組み ・コミュニケ-ションの促進に向けた取り組み ・病気の治療と仕事の両立の促進に向けた取り組み ・保健指導の実施及び特定保健指導実施機会の提供に関する取り組み ※「生活習慣病予備群者への特定保健指導以外の保健指導」については参加率(実施率)を測っていること ・食生活の改善に向けた取り組み ・運動機会の増進に向けた取り組み ・女性の健康保持・増進に向けた取り組み ・従業員の感染症予防に向けた取り組み ・長時間労働者への対応に関する取り組み ・メンタルヘルス不調者への対応に関する取り組み |
どの項目も、法的義務の内容ではなく、努力義務の範疇に属するものばかりです。
まずは、法令遵守を万全にしたうえで、これらの項目に少しずつ取り組んでいくことをお勧めします。
社会保険労務士 柳田 恵一