月: 2020年4月

有期労働契約の更新条件

有期労働契約の更新条件

<契約更新可能性の明示義務>

使用者が、期間を定めて労働者を雇用する場合、つまり有期労働契約で雇用する場合、その契約の更新可能性の有無を明示しなければなりません。

完全に期間限定で、延長することがあり得ないのであれば「契約更新の可能性なし」と明示すれば足ります。

しかし、契約期間を延長する可能性がある場合には「契約更新の可能性あり」と明示したうえで、契約を更新する場合またはしない場合の判断基準も明示しなければなりません。

 

<判断基準の明示>

厚生労働省は、明示すべき「判断の基準」の具体的な内容として、次の例を参考にするよう指導しています。

・契約期間満了時の業務量により判断する

・労働者の勤務成績、態度により判断する

・労働者の能力により判断する

・会社の経営状況により判断する

・従事している業務の進捗状況により判断する

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事実婚(内縁)と年金

事実婚(内縁)と年金

<年金関係法令の規定>

事実婚(内縁)と年金について、次のような規定があります。

 

この法律において、「配偶者」、「夫」および「妻」には、婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にある者を含むものとする。〔国民年金法第5条第7項、厚生年金保険法第3条第2項〕

 

つまり事実上夫婦であれば、国民年金・厚生年金のどちらでも、夫婦と同様に扱われるということです。

 

<事実婚(内縁)>

事実上の夫婦と認められるためには、婚姻届を出していないだけで、この他の実態は夫婦であるという事情が必要です。

まず形式的に、婚姻届を出そうと思えば出せること、つまり原則として、事実上の夫婦のどちらにも戸籍上の配偶者がいないことが必要です。

法律上の正式な配偶者がいれば、重ねて結婚することはできないからです。

また実質的に、お互いに結婚する意思をもって、夫婦としての共同生活を営み、生計を同じくしているという事実が必要です。

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労働施策総合推進法の改正で企業が対応すべきこと

労働施策総合推進法の改正で企業が対応すべきこと

<法改正に関する通達>

令和2年2月10日、パワハラ防止措置義務化等に伴う通達が発出されています。

正式名称は、「労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律第8章の規定等の運用について」(雇均発0210第1号)です。

これは、パワハラ防止措置義務化を定めた改正労働施策総合推進法の6月1日施行に伴い、関連規定と指針の趣旨、内容、取扱い、解釈通達の一部変更を示したものです。

この中で、パワハラ指針の趣旨を次のように示しています。

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解雇の理由にしてはならない事項

解雇の理由にしてはならない事項

<解雇の理由>

一定の事項を理由に解雇することが、法令によって禁止されていることがあります。

これを避けるため、形式的に別の理由を設けて解雇しても無効です。

 

<個人の本質に関わる事項>

・労働者の国籍、信条、社会的身分〔労働基準法第3条〕

・労働者の性別〔男女雇用機会均等法第6条〕

※これらは、本人が容易に変えられない項目であり、個人の努力では対処し難いことから、解雇理由にできないものとされます。

 

<個人の人権に関わる事項>

・女性労働者が婚姻したこと、妊娠・出産したこと〔男女雇用機会均等法第9条〕

※少子化対策関連で、次々と法改正が行われている現在、こうした理由での解雇は時代に逆行するものであり、社会的な非難を浴びることとなります。

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退職後の健康保険

退職後の健康保険

<退職後の健康保険>

職場で健康保険に入っていた人が退職した時は、次のいずれかに加入する手続が必要です。

1.任意継続健康保険

加入していた健康保険の保険者(協会けんぽなど)が窓口です。

2.国民健康保険

お住まいの市区町村の国民健康保険担当窓口で手続します。

3.家族の健康保険の扶養家族(被扶養者)

家族が加入する健康保険の保険者(保険証に書いてあります)にお尋ねください。

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協調性の欠如と始末書

協調性の欠如と始末書

<職場で求められる協調性>

職場では、上司、同僚、部下、他部門との関係で協調性が求められます。

上司との連携は円滑か、報・連・相は適切か、上司の指示に忠実か、上司のミスをカバーしているか、上司の話に傾聴しているか、上司を批判していないか、上司に感謝しているか、などが問われます。

同僚との連携は円滑か、同僚のことも考えて業務を推進しているか、同僚のミスをカバーしているか、などが問われます。

部下との連携は円滑か、部下の誰をどこまで育てているか、部下をほめているか、部下からの相談に対し親身に取り組んでいるか、部下から感謝されているか、などが問われます。

他部門の業務に干渉していないか、自部門・他部門の改善提案は正しいルートで行っているか、などが問われます。

 

<譴責(けんせき)処分>

本人から会社へ始末書を提出させ、反省させる処分です。

懲戒処分の中では軽いほうでしょう。

始末書には、不都合な事実の内容、そうした事実を生じたことに対する反省、再発防止策の提示、再発防止に向け努力することの約束を書きます。お詫びだけを長々と書くのでは、条件を満たしません。

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就業規則に矛盾が発見されたときの対応

就業規則に矛盾が発見されたときの対応

<就業規則に矛盾が発生する場合>

会社が初めて就業規則を作成し、労働基準監督署長に届出る場合には、大変慎重になりますから、厚生労働省のひな形を参考にしたり、社労士(社会保険労務士)に依頼したりで、矛盾の無いものを作成しようとします。

ところが、法改正や社会情勢により、あるいは社内の運用が変わって、就業規則を改定する場合には、1か所ばかりに気を取られて、関連する部分のすべてを改定できずに終わってしまうということがありがちです。

参照条文がズレるなどは、その典型例です。

こうして、就業規則の中に矛盾が生じてしまいます。

 

<事務的に直してよい矛盾>

部署名や役職名など、変更されたにもかかわらず、一部の表記が古いままという場合には、これを事務的に修正しても問題ありません。

また、矛盾する2つの規定のうち、どちらか片方に統一しても、あらゆるケースを想定した場合に、適用される労働者の誰にも不利益をもたらさない場合には、きちんと就業規則改定の手続きを踏む限り、特に問題はありません。

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減給処分の分割

減給処分の分割

<制裁規定の制限>

減給処分の制限として、次の規定があります。

 

【制裁規定の制限:労働基準法第91条】

就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。

 

減給処分について、就業規則に具体的な規定があり、他の適法要件を備えていたとしても、何か一つの不都合な事実に対しては、平均賃金の1日分の半額が限度となります。

そして、この平均賃金の計算方法は法定されています。

たとえば、直近の給与の締日までの3か月で、カレンダー上の日数が91日のとき、この間の給与の総合計が91万円であれば、1日分は1万円、その半額は5千円です。

これが1回の減給処分の限度額です。

また、いくつかの不都合な行為があって、まとめて減給処分をする場合に、給与計算後の月給の支給総額が20万円の人に対しては、10分の1の2万円が限度額になります。

これは、懲戒処分を受けた場合であっても、労働者の生活を守るためです。

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有期労働契約を更新しないときの伝え方

有期労働契約を更新しないときの伝え方

<有期労働契約の打ち切り>

会社がパートやアルバイトなど、有期労働契約で雇っている労働者を、期間満了時に契約の更新を行わずに終了させることを「雇い止め」といいます。

一定の場合に、「使用者が(労働者からの契約延長の)申込みを拒絶することが、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められないときは、使用者は、従前の有期労働契約の内容である労働条件と同一の労働条件で当該申込みを承諾したものとみなす」という抽象的な規定があります。〔労働契約法第19条〕

これは、数多くの裁判の積み重ねによって作られた「雇い止めに関する法理」という理論を条文にしたものです。

ですから、雇い止めがこの理論による有効要件を満たしていなければ、裁判では無効とされ、有期労働契約が自動的に更新されることになります。

 

<雇い止めの有効性の判断材料>

上記の労働契約法第19条は、数多くの判決がベースとなって規定されたものですから、雇い止めの有効性を判断するには、裁判に現れたケースを基準に具体的に考える必要があります。

そして、結論としては、次のような事情が多く認められるほど、有効と判断されやすくなります。

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