解雇の理由にしてはならない事項

解雇の理由にしてはならない事項

<解雇の理由>

一定の事項を理由に解雇することが、法令によって禁止されていることがあります。

これを避けるため、形式的に別の理由を設けて解雇しても無効です。

 

<個人の本質に関わる事項>

・労働者の国籍、信条、社会的身分〔労働基準法第3条〕

・労働者の性別〔男女雇用機会均等法第6条〕

※これらは、本人が容易に変えられない項目であり、個人の努力では対処し難いことから、解雇理由にできないものとされます。

 

<個人の人権に関わる事項>

・女性労働者が婚姻したこと、妊娠・出産したこと〔男女雇用機会均等法第9条〕

※少子化対策関連で、次々と法改正が行われている現在、こうした理由での解雇は時代に逆行するものであり、社会的な非難を浴びることとなります。

<労働法上の権利に関わる事項>

・労働者が労働基準監督機関に申告したこと〔労働基準法第104条〕

・個別労働関係紛争に関し、都道府県労働局長にその解決の援助を求めたこと〔個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第4条〕

・男女雇用機会均等法、育児・介護休業法及びパートタイム労働法に係る個別労働紛争に関し、都道府県労働局長に、その解決の援助を求めたり、調停の申請をしたこと

・労働者が育児・介護休業等の申出をしたこと、又は育児・介護休業等をしたこと〔育児・介護休業法〕

・労働者が労働組合の組合員であること、労働組合に加入し、又はこれを結成しようとしたこと、労働組合の正当な行為をしたこと等〔労働組合法第7条〕

※従業員が、労働法上の正当な権利を行使したにもかかわらず、会社に逆らっているかのように感じた使用者が、報復する形で解雇を宣告するものです。

 

<公益に関わる事項>

・公益通報をしたこと〔公益通報者保護法第3条〕

※従業員が、その正義感から、社会のために通報したのに対して、会社が報復するような解雇を宣告するものです。

 

<隠された注意点>

たとえば、元々勤務態度に問題があり、解雇を検討していた従業員が、会社に妊娠したことを報告したとします。

このタイミングで、会社がその従業員に、勤務態度不良を理由に解雇を通告すると、本人からは「妊娠を理由に解雇したのではないか」という主張が出てくる可能性が高くなってしまいます。

会社側に、勤務態度不良の事実、本人を教育した事実、なお改善されなかった事実についての、ある程度詳細な資料が調っていなければ、反論は難しいでしょう。

このように、真実として、法に触れない解雇理由による解雇であっても、そのタイミングによっては、正当な解雇であることや解雇の有効性について、証明が困難なこともあります。

解雇を検討するにあたっては、その理由の正当性と併せて、タイミングにも注意することが大切です。

 

社会保険労務士 柳田 恵一