月: 2020年8月

医療従事者以外のコロナウイルス労災認定

医療従事者以外のコロナウイルス労災認定

<新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の労災認定基準>

「医師、看護師、介護従事者等の医療従事者等が新型コロナウイルスに感染した場合は、業務外で感染したことが明らかな場合を除き、原則として労災保険給付の対象となる」という基準があります。

この基準は、「新型コロナウイルス感染症の労災補償における取扱い」(令和2年4月 28 日基補発0428第1号通達)に示されているものです。

医療従事者が、新型コロナウイルスに感染した場合には、一般に「業務上」である可能性が高いですから、こうした基準が適用されるわけです。

一方で、医療従事者以外の人が新型コロナウイルスに感染した場合には、一般に「業務上」である可能性が低いですから、同じ基準は適用されません。

医療従事者以外の人については、この通達で「感染源が業務に内在していることが明らかな場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が設けられています。

原則と例外が逆になっているわけです。

また、この通達では「感染経路が特定されない場合であっても、感染リスクが相対的に高いと考えられる業務(複数の感染者が確認された労働環境下での業務や顧客等との近接や接触の機会が多い労働環境下での業務など)に従事し、業務により感染した蓋然性が高いものと認められる場合は、労災保険給付の対象となる」という基準が設けられていて、医療従事者以外であっても、感染リスクが高い環境下での業務については、中間的な基準が適用されることになっています。

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経済財政運営と改革の基本方針2020

経済財政運営と改革の基本方針2020

令和2年7月8日、政府は規制改革推進会議を開催し、経済財政運営と改革の基本方針2020(仮称)(原案)を公表しました。

新型コロナウイルス感染拡大の影響を踏まえた内容となっています。

 

<雇用の維持と生活の下支え>

・事業主に対しては、雇用調整助成金についてのオンライン申請の確実な稼働など手続きの簡素化等によるできる限り迅速な支給に加え、休業手当が支払われない中小企業の労働者に対しては、休業前賃金額の一部を休業実績に応じて直接支給する休業支援金の円滑な実行を通じ、雇用の維持に全力を尽くす。

・ニーズの高い職種、成長分野へのマッチングを進めるとともに、優良な職業紹介事業者の明確化等により、医療介護福祉保育等の人材を円滑に確保する。

コロナショックでダメージを受けた事業主・労働者への支援と、医療関係などの人材充実を目指しています。

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葬祭料・埋葬料の支給

葬祭料・埋葬料の支給

<労災保険の給付>

労災事故で、不幸にして従業員が亡くなった場合には、葬祭料(葬祭給付)の支給があります。

支給対象は、必ずしも遺族とは限りませんが、通常は葬祭を行うにふさわしい遺族が該当します。

葬祭を執り行う遺族がなく、社葬として、亡くなった従業員の会社で葬祭を行なった場合は、葬祭料(葬祭給付)はその会社に対して支給されることになります。

葬祭料(葬祭給付)の額は、315,000円に給付基礎日額の30日分を加えた額ですが、この額が給付基礎日額の60日分に満たない場合は給付基礎日額の60日分が支給額となります。

ここで、「給付基礎日額」とは、原則として労働基準法の平均賃金に相当する額をいいます。

そして、「平均賃金」とは、原則として、業務上又は通勤による負傷や死亡の原因となった事故が発生した日又は医師の診断によって疾病の発生が確定した日(賃金締切日が定められているときは、その日の直前の賃金締切日)の直前3か月間にその従業員に対して支払われた賃金の総額を、その期間の暦日数で割った1日あたりの賃金額のことです。

請求手続は、所轄の労働基準監督署長に、葬祭料請求書(様式第16号)又は葬祭給付請求書(様式第16号の10)を提出して行います。

死亡診断書、死体検案書、検視調書又はそれらの記載事項証明書など、従業員の死亡の事実及び死亡の年月日を証明することができる書類の添付が必要です。

ただし、併せて遺族(補償)給付の請求書を提出する際に添付してある場合には、必要ありません。

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成績不良社員の降給

成績不良社員の降給

<賞与か給与か>

成績不良という場合、その立場に見合った成果が上げられなかったのであれば、一般には、人事考課を通じて賞与の金額に反映されます。

しかし、何期にもわたって成果が上がらない、教育しても成長しない、そもそも向上心が無いという場合、他の社員との公平から、給与の減額を検討せざるを得ないこともあります。

 

<個別の合意による場合>

対象となった社員本人から個別の合意があれば、原則として給与の減額は可能です。

 

【労働契約法第3条第1項:労働契約の原則】

労働契約は、労働者及び使用者が対等の立場における合意に基づいて締結し、又は変更すべきものとする。

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在宅勤務での労災

在宅勤務での労災

<新型コロナウイルス感染症拡大の影響>

働き方改革の一環で、在宅勤務などテレワークの普及が、厚生労働省を中心に進められてきました。

これにより、大企業では在宅勤務の導入が進んできたところですが、新型コロナウイルス感染症拡大の影響により、中小企業でも在宅勤務を取り入れる企業が急速に増えました。

 

<厚生労働省のガイドライン>

厚生労働省は、早くも平成20(2008)年には、在宅勤務のためのガイドラインを策定し公表しています。

ガイドラインでは、「在宅勤務には、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法、労働者災害補償保険法等の労働基準関係法令が適用される」と説明しています。

労働者災害補償保険法が適用されるわけですから、在宅勤務にも労災保険が適用されることになります。

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喫煙所の廃止による離席時間の増加

喫煙所の廃止による離席時間の増加

<労働安全衛生法の努力義務>

受動喫煙の防止について、労働安全衛生法には次の規定が置かれています。

 

【受動喫煙の防止】

第六十八条の二 事業者は、室内又はこれに準ずる環境における労働者の受動喫煙(健康増進法(平成十四年法律第百三号)第二十八条第三号に規定する受動喫煙をいう。第七十一条第一項において同じ。)を防止するため、当該事業者及び事業場の実情に応じ適切な措置を講ずるよう努めるものとする。

 

これは、事業者に対して、労働者の受動喫煙を防止するための措置を講ずるよう求めるものです。

しかし、文末が「努めるものとする」となっていることから分かるように、努力義務であって、これに違反しても罰則はありません。

 

<健康増進法の規制>

令和2年4月1日から、第二種施設(多数の者が利用する施設)では、屋内での喫煙が原則として禁止となりました。〔健康増進法第30条第1項〕

都道府県知事は、第二種施設の管理権原者等に対し、受動喫煙を防止するために必要な指導及び助言をすることができるとされています。〔同法第31条〕

また、第二種施設の管理権原者等が屋内での禁煙(同法第30条第1項)に違反して器具や設備を喫煙に使える状態で設置しているときは、都道府県知事が期限を定めて、器具や設備の撤去などを勧告することができます。

さらに、管理権原者等がこれに従わなかったときは、その旨を公表することができますし、勧告に従った措置をとるよう命ずることもできます。

この命令に違反すれば、50万円以下の過料も規定されています。〔同法第76条第1項〕

会社の喫煙所が廃止された場合、それは会社の方針というよりも、これらの健康増進法の規制から止むを得ないことだと考えられます。

ただ、喫煙者の皆さんには、十分な説明が必要となります。

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社会保険の定時決定(算定基礎届)と一時帰休

社会保険の定時決定(算定基礎届)と一時帰休

<変則的な定時決定>

新型コロナウイルス感染症の影響などによって、従業員を一時的に休業(一時帰休)させていた場合の定時決定(算定基礎届)は、7月1日時点で一時帰休の状態が解消されているか、未だ解消されていないかによって、その扱いが異なっています。

なお、一時帰休による休業手当は、報酬に含めて計算します。

また、休業手当の対象となった日数は、支払基礎日数に含めてカウントします。

 

7月1日時点で一時帰休の状態が解消されている場合

一時帰休の状態が解消されているかどうかは、休業手当の支払が継続しているかどうかで決まります。

7月1日以降の分として、休業手当が支給されておらず、今後も支給される予定が無いのであれば、一時帰休の状態が解消されていると判断されます。

この場合には、休業手当を受けた月を除いて計算し、標準報酬月額を決定します。

たとえば、4月と5月の分として休業手当が支払われ、6月の分は休業手当が支払われなかった場合には、6月だけが通常の報酬となりますので、6月の1か月分だけで計算し、標準報酬月額を決定します。

ただし、4月、5月、6月のどの月も休業手当が支払われた場合には、これらの期間の報酬を計算対象とはせず、直近に改定された標準報酬月額をそのまま用います。

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新型コロナウイルスによる収益悪化と整理解雇

新型コロナウイルスによる収益悪化と整理解雇

<整理解雇>

整理解雇とは、会社の事業継続が困難な場合に、人員整理のため会社側の都合により労働契約を解除することです。

法律上は普通解雇の一種ですが、労働慣例により他の普通解雇と区別するため整理解雇という用語が使われています。

 

<法律上の解雇制限>

「解雇は、客観的に合理的な理由を欠き、社会通念上相当であると認められない場合は、その権利を濫用したものとして、無効とする」という規定があります。〔労働契約法第16条〕

しかし、これでは内容が抽象的すぎて、具体的な場合にその解雇が有効なのか無効なのか判断に困ります。

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