育児休業中の勤務

育児休業中の勤務

<育児休業中の勤務>

育児・介護休業法上の育児休業は、労働者が子の養育を行うために、休業期間中の労務提供義務を消滅させる制度です。

ですから、休業期間中に就労することは想定されていません。

しかし、労使の話し合いにより、子の養育をする必要がない期間に限り、一時的・臨時的にその事業主のもとで就労することはできます。

雇用保険の育児休業給付金を受給中の労働者の場合、就労が月10日以下であれば、育児休業給付金が支給されます。

また、10日を超えて就労する場合でも、月80時間以下であれば同様です。

一方で、恒常的・定期的に就労させる場合は、育児休業をしていることにはなりませんので、育児休業が終了したことになります。

<一時的・臨時的勤務の注意>

上記のような例外が認められる場合であっても、事業主の一方的な指示により就労させることはできません。

労働者が自ら事業主の求めに応じ、労使で合意することが必要です。

また、合意が得られず一時的・臨時的就労が行われなかった場合、育児休業中に就労しなかったことを理由として、事業主が不利益な取扱いをしてはなりません。

むしろ事業主は、上司や同僚からのハラスメントが起きないように、雇用管理上必要な措置を講ずる必要があります。

一時的・臨時的勤務の例

育児休業が終了しないような一時的・臨時的就労の例として、厚生労働省は、次のようなものを挙げています。

これらは例示ですから、他にも一時的・臨時的就労に該当する場合があります。

1.育児休業開始当初は、労働者Aは育児休業期間中に出勤することを予定していなかったが、自社製品の需要が予期せず増大し、一定の習熟が必要な作業の業務量が急激に増加したため、スキル習得のための数日間の研修を行う講師業務を事業主が依頼し、Aが合意した場合   2.労働者Bの育児休業期間中に、限られた少数の社員にしか情報が共有されていない機密性の高い事項に関わるトラブルが発生したため、当該事項の詳細や経緯を知っているBに、一時的なトラブル対応を事業主が依頼し、Bが合意した場合   3.労働者Cの育児休業期間中に、トラブルにより会社の基幹システムが停止し、早急に復旧させる必要があるため、経験豊富なシステムエンジニアであるCに対して、修復作業を事業主が依頼し、Cが合意した場合   4.災害が発生したため、災害の初動対応に経験豊富な労働者Dに、臨時的な災害の初動対応業務を事業主が依頼し、Dが合意した場合   5.労働者Eは育児休業の開始当初は全日を休業していたが、一定期間の療養が必要な感染症がまん延したことにより生じた従業員の大幅な欠員状態が短期的に発生し、一時的にEが得意とする業務を遂行できる者がいなくなったため、テレワークによる一時的な就労を事業主が依頼し、Eが合意した場合

いずれも、他の人では代わりを務められない能力が求められるような業務について、客観的な必要性が認められる場合であると考えられます。

社会保険労務士 柳田 恵一