所定労働時間と予定労働時間

所定労働時間と予定労働時間

<所定労働時間>

多くの企業の就業規則には、正社員の所定労働時間が1日8時間、1週40時間と定められています。

これは、労働基準法の法定労働時間にならったものです。

ところが、1か月の所定労働時間となると、企業によって大きな開きがあります。

法定時間外労働については、月給を1か月の所定労働時間で割って時間単価を算出し、これに法定時間外労働時間を掛け、さらに2割5分以上の割増をして計算することになります。

いわゆる残業代の計算です。

<予定労働時間>

この所定労働時間とは別に、「予定労働時間」とも呼ぶべき予定された労働時間があります。

これも1日あるいは1週であれば、所定労働時間と同じことが多いものです。

しかし、1か月の予定労働時間は、1日の所定労働時間に予定出勤日数を掛けて算出します。

たとえば、8時間労働で23日出勤であれば、184時間となります(8×23=184)。

これは、カレンダーや企業の休日ルールによって、毎月変動するものです。

<所定労働時間と予定労働時間の混同>

所定労働時間というのは、労働契約や労働条件の内容となるものです。

時間給であれば、時給に1か月の所定労働時間を掛けて、おおよその月収を把握することができます。

月給制であれば、月々の月給は定額であり、1か月あたりの予定労働時間は変動します。

従業員は、この「あたりまえ」のことに納得して働いているはずなのです。

<混同による給与計算>

正社員の給与のほとんどは、月給制であって、日給制ではなく、ましてや週給制でもありません。

そして、時間外労働や休日労働があれば、その分の賃金が加算されます。

このとき、昇給や降給が無い限り、1時間あたりの賃金単価は固定されているのが合理的です。

月によって正社員の生産性が変動するわけではありませんから、月によって単価が変動するというのは不合理です。

ところが実態としては、就業規則の給与計算規程の中に、「平均所定労働時間」という言葉が散見されます。

これは、「平均予定労働時間」の意味であって、「所定労働時間」とすべきものであると考えられます。

もし賃金規程に「平均」の文字が入っていたなら、その合理性を検証する必要があるでしょう。

さらに大きな勘違いとして、「1か月の予定労働時間を超えたら残業代が発生するのではないか」「1か月の予定労働時間を下回ったら欠勤控除となるのではないか」というのがあります。

これらも、所定労働時間と予定労働時間の混同による勘違いですから、両者を明確に分けて運用する必要があるわけです。

社会保険労務士 柳田 恵一