モデル就業規則の性質と使い方

モデル就業規則の性質と使い方

<モデル就業規則>

「モデル就業規則」は、厚生労働省(労働基準局監督課)がネットに公表しています。

誰でも、無料で使うことができます。

関係法令、通達、行政解釈に準拠していますので、適法な内容であることが担保されています。

必要な項目が網羅されていて、漏れがありませんので、企業の就業規則のひな形として、最適なものだと考えられます。

モデル就業規則の最新版(令和3年4月版)は、令和2年11月現在の関係法令等の規定を踏まえ就業規則の規程例を解説とともに示したものです。

このように、法改正などにもタイムリーに対応しています。

<注意点>

モデル就業規則には、活用に当たって次のような注意点が示されています。

本規則はあくまでモデル例であり、就業規則の内容は事業場の実態に合ったものとしなければなりません。 したがって、就業規則の作成に当たっては、各事業場で労働時間、賃金などの内容を十分検討するようにしてください。

ひな形である以上、職場の実態に適合するようカスタマイズは必須です。

しかし、「どこをどう考えて」というのは難しいものです。

以下、カスタマイズの必要性が高い項目について検討します。

<就業規則の形式>

パートタイム労働者の就業に関する事項については、別に定めるところによる。〔第2条第2項〕

就業規則を「正社員就業規則」「パート社員就業規則」「アルバイト社員就業規則」などに分割すれば、各従業員は自分に関わる規則だけに目を通すことができて便利でした。

しかし、同一労働同一賃金が意識されるようになり、雇用形態による待遇の差が注目されています。

現在は、1冊の就業規則に全雇用形態の規定を網羅することも一考に値します。

なお、非正規社員にはパートタイム労働者だけでなく有期雇用労働者もいるのですから、正社員とは別の雇用形態の就業規則を規定するのであれば、全雇用形態を網羅して規程を定める必要があります。

<休職制度>

労働者が、次のいずれかに該当するときは、所定の期間休職とする。〔第9条第1項〕

この規定によれば、一定の条件を満たした社員は自動的に休職となるわけです。

しかし、たとえば復帰の見込みが無い場合にまで、一定の期間休職扱いにするのは不合理です。

「所定の期間休職とする」のではなく、「休職を命ずることがある」にするのが現実的でしょう。

<あいまい表現>

その他労働者としてふさわしくない行為をしないこと。〔第11条第7号〕 正当な理由なくしばしば欠勤、遅刻、早退をしたとき。〔第66条第1項第2号〕 正当な理由なく、しばしば業務上の指示・命令に従わなかったとき。〔第66条第2項第4号〕 素行不良で著しく社内の秩序又は風紀を乱したとき。〔第66条第2項第7号〕 業務に重大な悪影響を及ぼす行為をしたとき。〔第66条第2項第12号〕

禁止規定の「ふさわしくない行為」、懲戒規定の「しばしば」「著しく」「重大な」というのは、個人によって判断の分かれる表現です。

具体的な言動について、該当する/しないが紛争の火種となりますから、こうした言葉を使わないのが得策です。

たとえば、上記で「しばしば」という表現の付いている行為については、その回数よりも影響度が問題となります。

業務や労働環境に与えた不都合を踏まえて、臨機応変に対応できるようにするためにも、余計な表現は排除しておくのが良いと考えられます。

社会保険労務士 柳田 恵一