昼休みの時差取得

昼休みの時差取得

<政府の感染症対策方針にも>

令和3(2021)年5月28日、内閣官房新型コロナウイルス感染症対策本部は「新型コロナウイルス感染症対策の基本的対処方針」の一部を変更し、職場における感染防止のための取組として、事業者に対して昼休みの時差取得などを促すこととしました。

休憩室や食堂などでの密を避けるため、昼休みの時差取得は手軽で有効な手段ではありますが、一定の配慮と手続が必要となります。

<一斉付与の原則>

【労働基準法第34条第2項本文:休憩の一斉付与】

前項の休憩時間は、一斉に与えなければならない。

この根拠としては、一斉でなければ心理的に休憩を取りづらいとか、会社が管理しにくいとか、労働基準法の前身である工場法の名残であるとか言われています。

しかし、一斉付与でなくてもよい業種が、労働基準法施行規則第31条に定められています。

運輸交通業、商業、金融保険業、興業の事業、通信業、保健衛生業、接客娯楽業、官公署の事業がこれに該当し、一斉に休憩を取ったのでは、お客様にご迷惑をお掛けするということのようです。

ですから、これらの業種に該当する企業では、昼休みの時差取得をするのに特別な手続は不要です。

<労使協定の締結>

【労働基準法第34条第2項但し書き:一斉付与の免除】

ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定があるときは、この限りでない。

このように、休憩の一斉付与を免除されていない業種であっても、労使協定の締結によって、一斉付与の義務を免れることができます。

この労使協定は、所轄の労働基準監督署長に届け出なくてもよいものです。

<同一労働同一賃金への配慮>

食堂や休憩室の利用について、正社員は午前11時から午後2時、非正規社員はこれ以外の時間帯などと定めるのは、こうすることに合理的な理由がなければ、同一労働同一賃金の観点から問題ありです。

「同一労働同一賃金」は、「賃金」という文字が入っているものの、休暇や福利厚生にも及ぶ原理ですから、昼休みの時差取得にあたっては、同一労働同一賃金の趣旨に反しないように配慮する必要があります。

<公平性の確保や業務への配慮>

結局、部署毎に交代で休憩を取得することになると思われますが、休憩時間が固定では部署間の不公平が発生してしまいます。

そこで、毎月のローテーションで休憩時間が変更になる仕組を考えることになります。

しかし、あまり早い時間帯、あるいは遅い時間帯に昼休みを取ったのでは、業務に支障が出る部署もあり、この辺の調整が難しいかもしれません。

昼休みの時差取得について仕組を考える部署は、各部署からの聞き取りを行い、よく考えてローテーションを組む必要があるでしょう。

社会保険労務士 柳田 恵一