<育児・介護休業法の改正>
育児・介護休業法が改正されました。
令和4(2022)年4月1日から段階的に施行されます。
<男性の育児休業取得促進のための子の出生直後の時期における柔軟な育児休業の枠組みの創設>(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)
改正法施行後は、現行の制度に加えて、新制度による育児休業の取得が可能となります。
新制度(現行制度とは別に取得可能) | |
対象期間と取得可能日数 | 子の出生後8週間以内に4週間まで取得可能 |
申出期限 | 原則休業の2週間前まで |
分割取得 | 分割して2回取得可能 |
休業中の就業 | 労使協定を締結している場合に限り、労働者が合意した範囲で休業中に就業することが可能 |
申出期限は、原則として休業の2週間前までとなっていますが、職場環境の整備などについて、今回の改正で義務付けられる内容を上回る取組の実施を労使協定で定めている場合は、1か月前までとすることができます。
休業中の就業について、労使協定を交わす場合の具体的な手続の流れは、次の1.~3.のとおりです。
1.労働者が就業してもよい場合は事業主にその条件を申出
2.事業主は、労働者が申し出た条件の範囲内で候補日・時間を提示
3.労働者が同意した範囲で就業
なお、就業可能日等の上限(休業期間中の労働日・所定労働時間の半分)を厚生労働省令で定める予定です。
<育児休業を取得しやすい雇用環境整備及び妊娠・出産の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置の義務付け>(施行日:令和4年4月1日)
育児休業を取得しやすい雇用環境の整備(研修、相談窓口設置等)の具体的内容については、複数の選択肢からいずれかを選択して措置することになる予定ですので、就業規則に「法令の定めによる」などと規定されている場合には、内容を確定する規定を置く必要があります。
妊娠・出産(本人または配偶者)の申出をした労働者に対する個別の周知・意向確認の措置についても、省令によって、面談での制度説明、書面による制度の情報提供等の複数の選択肢からいずれかを選択して措置することになる予定ですので、同様のことが言えます。
なお、妊娠・出産(本人または配偶者)の申出をした労働者に対する休業取得意向の確認は、事業主が労働者に対し、育児休業の取得を控えさせるような形での実施を認めない予定です。
<育児休業の分割取得>(施行日:公布後1年6か月以内の政令で定める日)
育児休業(新制度除く)を分割して2回まで取得可能となります。
また、保育所に入所できない等の理由により1歳以降に延長する場合には、開始日を柔軟化することで、各期間途中でも夫婦交代が可能(途中から取得可能)となります。
<有期雇用労働者の育児・介護休業取得要件の緩和>(施行日:令和4年4月1日)
「引続き雇用された期間が1年以上」の要件が廃止され、「1歳6か月までの間に契約が満了することが明らかでない」という要件のみになります。
ただし、引続き雇用された期間が1年未満の労働者は、労使協定の締結により除外することが可能です。
<育児休業の取得の状況の公表の義務付け>(施行日:令和5年4月1日)
従業員数1,000人超の企業は、育児休業等の取得の状況を公表することが義務付けられます。
新型コロナウイルス感染症拡大の影響で、出生数の一時的な落ち込みが確実です。
今後とも、少子化対策が強力かつ継続的に行われることでしょう。
社会保険労務士 柳田 恵一