<ニセ社労士からの売込み>
社労士のニセモノから、次のような売込みが行われています。
・「労務管理士」と名乗る人が社会保険労務士業務を行うというもの
・アウトソーシング会社が雇用保険や社会保険の手続を行うというもの
・経営コンサルティング会社がもらえそうな助成金の検討を行うというもの
会社の規模を考えずに「社長さんをお願いします」という電話をかけてきて、格安で業務を行うという説明をします。
<本物の社労士の確認方法>
国家資格者である社会保険労務士は、その身分を証明するため、全国社会保険労務士会連合会が発行する「(特定)社会保険労務士証票」と、所属する都道府県社会保険労務士会が発行する「社会保険労務士会会員証」を携帯しています。
<社労士の業務>
労働および社会保険諸法令に基づいて行政機関等に提出する申請書、届出書、報告書その他の書類の作成および提出、労働社会保険諸法令に基づく帳簿書類の作成を、他人の求めに応じ報酬を得て行えるのは、社会保険労務士法により、国家資格を付与された社会保険労務士だけです。〔社会保険労務士法第2条、第3条〕
社会保険労務士でない、労務管理士、アウトソーシング会社、経営コンサルティング会社等が社会保険労務士業務(雇用保険や社会保険の手続、助成金の手続、就業規則の作成等)を行うことは社会保険労務士法違反です。〔社会保険労務士法第27条〕
違反した場合、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処せられます。〔社会保険労務士法第32条の2第1項第6号〕
社会保険労務士の業務には、申請書等の作成に代える場合の電磁的記録の作成を含みます。〔社会保険労務士法第2条第1項第1号および第2号かっこ書き〕
ですから、社会保険労務士でない無資格者が、給与計算システム等を使用し、給与計算に付随して労働社会保険諸法令に基づく申請書等および帳簿書類を作成することも同様に社会保険労務士法違反です。
<労務管理士という資格>
労務管理士は社会保険労務士とは全く関係ありません。
労務管理士は国家資格ではなく、民間団体が認定する民間資格です。
労務管理士が社会保険労務士業務を行えば、社会保険労務士法に定める罰則が適用されます。
<ニセ社労士に委託することのリスク>
ニセ社労士は、法令に違反してコッソリと業務を行っています。
ですから、法令違反が摘発されそうになれば、やりかけの業務を投げ出して逃げてしまうでしょう。
本物の社労士が、虚偽、不正、違反に関与すれば、懲戒処分を受けることとなります。
また、懲戒処分のあったことは、実名入りで官報に公告され、厚生労働省ホームページ等にも公表されます。
しかも、公表の期間は懲戒の内容に応じて、1年から5年と長期にわたります。
ニセ社労士には、こうした懲戒処分がありませんから、一度摘発されても、手を変え品を変え別の地域で暗躍する恐れがあります。
たとえ格安であったとしても、それは責任ある業務にはなりませんので注意が必要です。
社会保険労務士 柳田 恵一