カテゴリー: 人事管理

三六協定書届出後の対応

三六協定書届出後の対応

<様式の変更>

令和2(2020)年4月、働き方改革関連法の影響で三六協定届の様式が変更になったばかりです。

しかし、令和3(2021)年4月にも、今度は政府の押印省略の方針を受けて様式が変更となりました。

これ以降に届出する場合には、ネットで最新版の様式をダウンロードして使用しなければなりません。

<労働者の過半数を代表する者>

三六協定を締結する際に、事業場に労働者の過半数で組織する労働組合が無い場合は、労働者の過半数を代表する者(過半数代表者)を選出し、労働者側の締結当事者とする必要があります。

管理監督者(労働基準法第41条第2号)は過半数代表者になれません。

また、三六協定を締結するための過半数代表者であることを明らかにしたうえで、投票、挙手などにより民主的に選出する必要があります。

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派遣先企業の配慮

派遣先企業の配慮

派遣先企業には、派遣元責任者等と連携をとりつつ、次のような措置等を講じることが義務付けられています。

(文中の「法」は、「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」を指します。)

<労働者派遣契約に関する措置(法第39条)>

派遣先は、労働者派遣契約の定めに反することのないように適切な措置を講じなければなりません。

派遣社員は、契約違反があっても自分からは言い出しにくい立場にありますから、派遣先には次のような配慮が求められます。

1.労働者派遣契約で定められた就業条件の関係者への周知

2.派遣労働者の就業場所の巡回による就業状況の確認

3.派遣労働者を直接指揮命令する者からの就業状況の報告

4.労働者派遣契約の内容に違反しないよう、直接指揮命令する者への指導の徹底

派遣先は、労働者派遣契約違反の事実を知った場合、早急に是正し、違反した者や派遣先責任者に契約遵守のための措置を講じる等、適切な対応をする必要があります。

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定年後再雇用時の賃金引下げ

定年後再雇用時の賃金引下げ

<再雇用時の賃金>

正社員が定年に達すると同時に再雇用された場合、年収は何割までダウンしても違法にならないか、世間相場や業界での一般的な水準はどの程度かといった、それ自体あまり意味を持たない質問を受けることがあります。

これは、働き方改革以前から問題とされてきましたが、同一労働同一賃金との関連でクローズアップされています。

<長澤運輸事件最高裁判決>

平成30(2018)年6月1日の長澤運輸事件最高裁判決は、まさに定年後再雇用時の賃金引下げが争われた事件に対する司法判断です。

運輸業の会社でトラックの運転手として定年を迎えた労働者が、定年退職とともに有期労働契約の嘱託社員として再雇用されました。

このとき、仕事内容に変更が無いのに、賃金が約2割引き下げられたことによって、正社員との間に不合理な待遇差が発生し、旧労働契約法第20条に違反するとして会社を訴えたのです。

この判決で、最高裁は次のような判断を示しました。

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令和3(2021)年度地方労働行政運営方針

令和3(2021)年度地方労働行政運営方針

<地方労働行政運営方針の意義>

厚生労働省は、令和3(2021)年4月1日付で「令和3年度地方労働行政運営方針」を策定しました。

各都道府県労働局は、この運営方針を踏まえつつ、各局の管内事情に即した重点課題や対応方針などを盛り込んだ行政運営方針を策定し、計画的な行政運営を図ることにしています。

労働基準監督署の労働基準監督官は、監督指導実施計画に沿って臨検監督(実地調査)を行っていますが、この計画も「行政運営方針」に基づいています。

労働基準行政で優先順位の高いものほど、重点項目の上のほうに記載されていますから、会社の所轄労働基準監督署が監督(調査)に入るとしたら、何を見られるかが把握しやすいといえます。

<令和3年度の運営方針の特徴>

労働行政の最大の課題として、長期化する新型コロナウイルス感染症への対応を掲げています。

今後は、新型コロナウイルス感染症が社会経済活動に様々な影響を及ぼす中で、現下の厳しさがみられる雇用情勢と、労働市場の変化の双方に対応した機動的な雇用政策を実施していくこと、人材ニーズに柔軟に対応した人材開発やテレワークなどの多様な働き方の定着などに取り組むとしています。

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フリーランスとの取引で遵守すべき事項

フリーランスとの取引で遵守すべき事項

<ガイドラインの公表>

令和3(2021)年3月26日、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の連名で「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」が公表されました。

事業者とフリーランスとの取引について、独占禁止法、下請代金支払遅延等防止法、労働関係法令の適用関係と、事業者が遵守すべき事項を明らかにするものです。

<フリーランスの定義>

「フリーランス」は、「正社員」「非正規社員」などと同様に、法令用語ではないので定義は様々です。

ガイドラインでの定義は、「実店舗がなく、雇人もいない自営業主や一人社長であって、自身の経験や知識、スキルを活用して収入を得る者」とされています。

国はフリーランスについて、多様な働き方の拡大、ギグ・エコノミーの拡大による高齢者雇用の拡大、健康寿命の延伸、社会保障の支え手・働き手の増加などに貢献することを期待しています。

ここで、ギグ・エコノミーとは、インターネットを通じて短期・単発の仕事を請負い、個人で働く就業形態をいいます。

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離職理由の変更

離職理由の変更

<離職理由の重要性>

離職者が失業手当(雇用保険の基本手当)を受給するためには、事業主が雇用保険の脱退(資格喪失)手続をするとともに、離職証明書(離職票)の作成手続をする必要があります。

基本手当の受給開始日や受給期間は、離職理由によって異なりますから、この離職理由が重要な意味を持ちます。

<離職理由の判断手続>

手続の流れとしては、まず事業主が会社所轄のハローワークに離職証明書を提出します。

事業主は、離職証明書に離職理由を記載しますが、離職理由を裏付ける客観的資料により、所轄のハローワークが確認することになっています。

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複数事業労働者の休業(補償)給付

複数事業労働者の休業(補償)給付

<労災保険の休業(補償)給付支給事由>

複数事業労働者の休業(補償)給付も、一般の場合と同様に、1「療養のため」、2「労働することができない」ために、3「賃金を受けない日」の第4日目から支給されます。〔労災保険法第14条第1項本文〕

<労働することができない>

上記2「労働することができない」とは、必ずしも負傷直前と同一の労働ができないという意味ではなく、一般的に働けないことをいいます。

軽作業に就くことによって症状の悪化が認められない場合や、その作業に実際に就労した場合には、給付の対象となりません。

健康保険の傷病手当金では、加入者(被保険者)が今まで従事していた業務ができない状態のことを「労務不能」と言っていますから、基準が少々異なっています。

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海外に転出する場合の年金手続

海外に転出する場合の年金手続

<国民年金の手続>

海外に居住することになれば、国民年金の加入義務が無くなります。

つまり、国民年金の強制加入被保険者ではなくなります。

しかし、日本国籍の人であれば、国民年金に任意加入することができます。

これから海外に転居する人は、国内居住地の市区町村役場で手続します。

保険料を納める方法は、国内にいる親族等の協力者が、本人に代わって納める方法と、日本国内に開設している預貯金口座から引落とす方法があります。

なお、海外の大学等に留学した場合には、学生納付特例制度(保険料納付を猶予する制度)は利用できません。

任意加入し保険料を納めることで、海外在住期間に死亡した場合、病気やけがで障害が残った場合に、遺族基礎年金や障害基礎年金が支給されます。

<厚生年金保険の手続>

厚生年金保険は、海外に住所がある人に対しても引き続き適用されます。

そのため、加入者(被保険者)が会社から外国勤務を命じられた場合は、外国の年金制度と二重に加入しなければならないという問題が生じていました。

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懲戒処分の「準ずる」という規定

懲戒処分の「準ずる」という規定

<規定例>

モデル就業規則の最新版(令和2(2019)年11月版)では、懲戒の事由について、次のように規定しています。

【第66条:懲戒の事由】

労働者が次のいずれかに該当するときは、情状に応じ、けん責、減給又は出勤停止とする。 ( 中 略 ) ⑥ その他この規則に違反し又は前各号に準ずる不都合な行為があったとき。 2 労働者が次のいずれかに該当するときは、懲戒解雇とする。ただし、平素の服務態度その他情状によっては、第51条に定める普通解雇、前条に定める減給又は出勤停止とすることがある。 ( 中 略 ) ⑭ その他前各号に準ずる不適切な行為があったとき。

就業規則のひな形にも様々なものがあります。

しかし、懲戒に関する規定を見ると、上記と同様に「準ずる」という文言が入っていることが共通しています。

これを受けて、多くの企業の就業規則で「準ずる」を見かけます。

<「準ずる」の性質>

「準ずる」という言葉は、「全く同じではないが同様に扱う」という意味です。

「準ずる」という規定を、懲戒対象となる行為の最後に列挙することによって、不都合な行為を漏れなく含めることができると考えてのことです。

ですから、「その他前各号に準ずる不適切な行為があったとき」という包括規定は、便利な規定のようにも見えます。

<「準ずる」の効力>

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和解契約書ひな形の落とし穴

和解契約書ひな形の落とし穴

<和解契約の性質>

和解とは、法律関係の争いについて、当事者が互いに譲歩し争いを止める合意をすることをいいます。

退職者から会社に対し、代理人弁護士を通じて、法的な権利を主張し何らかの請求をしてくることがあります。

在職者からは、弁護士を介さず直接請求してくることが多いでしょう。

会社が何らかの回答をし、これに退職者・在職者が納得しなければ、あっせんや労働審判を申し立てられることがあります。

これを超えて訴訟にまで発展すると、当事者には時間、費用、労力、精神力などの負担が大きくのしかかります。

和解というのは、会社と退職者・在職者のどちらが正しいか白黒を付けるのではなく、お互いに歩み寄って解決することにより、時間、費用、労力、精神力などの負担を軽減しようという、合理的な解決方法であるといえます。

<和解契約書のひな形>

和解契約書のひな形は、ネットで検索すると、金銭消費貸借契約に関するものも多いですが、「和解 ひな形 労働者」で検索すれば、会社と従業員や退職者との和解契約書のひな形が見つかります。

しかし、その一般的なものには、そのまま利用すると、紛争の解決どころか新たな紛争の火種となる要素が含まれています。

以下、そうした例について説明を加えてみましょう。

なお、例文中の甲は会社、乙は退職者・従業員を示しています。

<離職理由>

第○条 甲乙は、本件に関し、雇用保険の離職証明書の離職事由は、○○○○であることを確認した。
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